Impressions

ETERNAL TEARS OF SORROW / A Virgin and a Whore (2001)

投稿日: 2001/11/20

反則的なまでの泣き泣きバンド名を持つ、フィンランド産ゴシック系耽美デス・メタル・バンド ETERNAL TEARS OF SORROW の 4th アルバム。
一聴して感じられるメジャー感の大幅な増加は、強烈なヨーロピアン様式デス・メタルを展開していた前作 "Chaotic Beauty" から激烈なブラック/デス・メタル風味をやや後退させた、落ち着きあるミッド・テンポ中心に丁寧に構築された作風の賜物かな。
が、それは決してマイナスではなく、正統派クラシカル・メタルの手法を持って惜しげも無く塗布されまくるギターとキーボードのソロイスト的活躍と落涙もののアンサンブルの妙がさらに際立ったゴシックの耽美な香りを漂わせる楽曲群は、「派手派手でクラシカルに着飾った最近の DARK TRANQUILLITY」とでも言えよう風合いだ。
中には本作のボーナス・トラックの一曲である PARADISE LOST のカヴァー "As I Die" よろしくモダン・ゴシックの味わいが強い曲もあったりするけど、それも含めて全編を包むその独特の様式的な泣きの空気は相当に美味しく、一曲目イントロのピアノでの秒殺の予感がその後に登場する SILVER MOUNTAIN の如きイナタいネオ=クラシカルなモノ・シンセのサウンドで瞬殺に変わる "Aurora Borealis" からエネルギッシュにビート弾きつつもサビのメロメロな進行が堪らない "Fall of Man"、普通声をフィーチュアした激泣きバラッド "The River Flows Frozen"(ラストを締め括るボーナス・トラックのアコースティック・バージョンも本編以上にイイ感じ/嬉)、泣きソロの応酬がカタルシスを生む "Aeon" と、悶絶ポイントも盛り沢山。
こうなってくると気になりだすのが、ベース兼任のシンガー Altti Vetelainen の歌う迫力なく押し潰されたショボ~いデス声。泣きを連ねるインストゥルメンタル群と対決できるだけの説得力を持っていないのがなんとも惜しいなぁ。ま、鍵盤奏者 Pasi Hiltula のセンス良さが尋常じゃないから、それで帳消しにしとくかな。(ならんわ!/苦笑)

満足度 : 86
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