Impressions

DREAM THEATER / Dream Theater (2013)

投稿日: 2016/05/09

デビューから24年目の12thアルバムにして満を持したかのようにセルフ・タイトルを冠してきたということで、本作を自身の真価を問う一作とせん彼らの覚悟が見て取れる。

Mike Mangini (dr) を迎えた新体制での船出となった前作 "A Dramatic Turn of Events" は、希望的な野心と保守的な堅さを交錯させつつも聴き応えのある好盤ではあったが、楽曲より何より「DREAM THEATER は Mike Portnoy なしでも問題なくやっていける!」と世に宣言することを主眼を置いたと思えるような“意地”が全編を覆い尽くしていたように思える。本作には、そこから一歩進み出てシンプルに「良い楽曲・良いメロディ」を綴ることに拘ったような潔さが充満しているようだ。

導入となるインストゥルメンタル #1 "False Awakening Suite" からして壮麗なスケール感とメタリックなスリル/エッジの絶妙なバランスの良さに唸らされるが、それに続くヘヴィかつキャッチーな #2 "The Enemy inside" でのコンパクトな中に見事なまでに詰め込まれた DREAM THEATER らしさといったらもう思わず色々と滴せずにはいられない。今後必ずや彼らの代表曲の一つに名を連ねるであろうド名曲の登場ですわ。

他にも、いかにも北米大陸のバンドらしいポジティヴな躍動感と初期に通じる極上のメロウネスを RUSH リスペクトなマインド(笑)でまとめ上げた #3 "The Looking Glass"、ここ数作の中では John Petrucci (g) のベスト・プレイだと思える秀逸ギター・パートの連続に耳を奪われっぱなしの #6 "Behind the Veil"、コンパクトな8曲(つっても大半は6分台w)の後に大団円として鎮座する22分超のプログレッシヴ大作 #9 "Illumination Theory"(この曲の終盤での Petrucci のソロもグッとくる...)など、心地よいメロディ/アンサンブル/プレイをとにかくバランスよく配して来たなぁ、という印象ね。

初期の作品を満たしていた破天荒な突き抜け感やセオリーをから逸脱する冒険心こそ前作同様に希薄だが、「現在の DREAM THEATER かくあるべし」という焦点が明確に定まった彼らはやはり強い。シーンのリーダーたる自覚と自信が溢れ出す名盤だ。

満足度 : 94
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