Impressions

THERION / Gothic Kabbalah (2007)

投稿日: 2007/01/20

スウェーデンを代表するシンフォニック・メタル・バンド THERION の11thアルバムは、17世紀のスウェーデンに実在した預言者/学者/司祭 Johannes Bureus の人生を、彼が遺した神秘の教義 "Gothic Kabbalah" の呼称を冠して描く一大コンセプト作。

クワイアやオーケストラル・アレンジが THERION ならではの壮麗な魅力を放っているのはもちろん、本作では核となるメタリックなバンド・パートのグルーヴをこれまで以上に充実させた印象で、URIAH HEEP, JETHRO TULL を想起させるヴィンテージな質感と AYREON にも通じる雄大な叙情的語り口を採り入れた奇跡の濃密アンサンブルの妙は言葉を失うほどに感動的。

Mats Levén (♂vo/KRUX, ex-YNGWIE MALMSTEEN, AT VANCE, ABSTRACT ALGEBRA, TREAT, SWEDISH EROTICA etc.), Snowy Shaw (♂vo/ex-DREAM EVIL, KING DIAMOND, MERCYFUL FATE, ILLWILL, NOTRE DAME, MEMENTO MORI), Katarina Lilja (♀vo), Hannah Holgersson (♀vo,soprano) という4人のリード・シンガーそれぞれの特色を生かしてミスティカルなエスニック・メロディをプログレッシヴに綴る楽曲群が、THERION 史上最もキャッチーなフックに満たされているのも◎。

毎作悶絶させられる Kristian Niemann (g) による泣きの超ハイテック・プレイと並んで、作曲面での多大なインプットをはじめマルチな才能を発揮する新ドラマー Petter Karlsson (dr/per,g,key,vo) の存在感の大きさにも目を瞠る。

2枚組15曲85分の超大作ながら、全ての音素に必然性が存在するかのような無駄の無さが凄いわ。。

 (Jan, 12, 2007)

満足度 : 92
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