Impressions
SABER TIGER / Indignation (2005)
ジャパニーズ・ヘヴィ・メタル・シーンにおいて“北の重鎮”として君臨する SABER TIGER が、メンバーを一新して復活を賭ける 11th アルバム。
一筋縄ではいかない知的な(考え過ぎとも言うけど/汗)テクニカル・リックにメンバー全員の細かな手足技が追随する小気味良いリフ・ランニングが ANNIHILATOR を思わせたりもする攻撃的なサウンドは、"Brain Drain" 期に立ち戻ったと思える正統ストロング・メタルの妙味に溢れたスタイル。
御大 木下 昭仁 (g) の16分で上昇/下降する中にさりげなく24分を絡めて悶絶的なスピードの緩急を醸し出す独特の構築美に満ちた魅惑のギター・ワークと、弱冠20歳ながらなかなかのテクニシャン振りを見せ付けるニュー・ドラマー 弓田 秀明 (ds) らの各楽器がリンクしながら生み出すザラついたメカニカルなヘヴィネスは、あたかも錆び付きつつも精錬された複雑な精密機械が高速回転して焦熱の焔を噴出するような熱気に包まれた、これまで以上の並々ならぬ気合を感じるものだ。
そんな風に、各楽曲の出で立ちやそこにたっぷりと配された凄まじきソロ・パートこそ近作を遥かに超える充実を見せている・・・・・が、それらが運んでくる満足感を全てチャラにするほどに、本来であれば本作の目玉であるハズのニュー・シンガー 鈴木 勝人 (vo) の歌が超ヤヴァイ。。。(泣)
前任の 下山 武徳 (vo) の独特のフラット気味のガナり歌唱が苦手だったこの身としては、まさかそれよりダメな人選が行われるわけはないと勝手に思い込んでいただけに、今回の 鈴木 の 下山 的ガナりを継承しちゃった上にパワーも抑揚も中途半端な平坦歌唱には、落胆の2文字しか浮かんでこないわ。
さらに、御大 木下 自身がエンジニアリング/プロデュースを行った結果のプアーなプロダクションも、曲自体が悪くないだけに至極残念だ・・・。
(Feb. 08, 2005)