Impressions
ブリティッシュ・トラディショナル・メタルの誇り、SAXON の18thアルバム。
主戦場・欧州における堂々たる君臨っぷりとは裏腹に「化石バンド」的な認識が長く続いていた我が国での状況は、傑作 "The Inner Sanctum" の充実度とそれをフォローする26年振り再来日となった2007年秋の LOUDPARK 公演&昨春の単独来日公演の成功によって、かなり好転してきたような。
そしてこの新作もまた、そんな良好なストリームをさらに後押しすること必至の好盤となった。ブリティッシュ・ハードの堅牢な伝統美とヨーロピアン・メタルのエピカルなドラマティカを両有する "Lionheart" ~ "The Inner Sanctum" の流れを汲む作風ながら、タフなツアーからのフィードバックとも思えるライヴ的なロック・エナジーをガッツリと封入。
若々しいアグレッションが弾ける #1 "Battalions of Steel", #3 "Demon Sweeney Todd", #5 "Valley of the Kings" らのメロディック・パワー・メタル・チューンズに心躍らされると同時に、#2 "Live to Rock" に代表されるタテノリ Metal'n'Roll な楽曲から溢れ出るシンプルな高揚感も実に魅力的に響いてくる。
Peter "Biff" Byford (vo) の威風堂々たる熱唱が発する重鎮オーラにたじろぐのはもちろん、Doug Scarratt & Paul Quinn のギター・チームによるパッショネイトな手練の味わいも超美味。成熟と挑戦が共闘する快作だ。
(Feb, 17, 2009)
満足度 : 89%