Impressions

RHAPSODY / Legendary Tales (1997)

投稿日: 1998/03/20

血が滾(たぎ)る! --- まさにこの一言に尽きるだろう。

些か心の狭い考え方だとは自分で分かっているが、メタルの異端児の連中が「メタルの新旗手」としてもてはやされている現状は何か寂しいものがある。「異端」は決して嫌いではないし彼等には一切責任はないが、彼等が「これからの本流」「新しいリーダー」としてメディアに扱われるのは、メタルがメタルとして純粋に輝いていた時代を見てきたものとしては我慢がならない。

そんなこの時代に、馬鹿馬鹿しいまでの時代錯誤メタル魂を、恥ずかしげもなく炸裂させたバンドの登場は、私の心を完膚なきまでに叩きのめしたのである。

イタリアからの彗星 RHAPSODY の "Legendary Tales" に収録された、ANGRA の華麗さと MANOWAR の勇壮さを兼ね備えたハイ・クオリティな楽曲は、そのどれもがこのアルバムが語るファンタジー物語の中で重要な役割を演じている。

英国以外の欧州諸国出身シンガーによく心配される「マイナー臭さ」の欠片もない見事なハイトーンヴォイスによる大仰な語り口と、絶妙のバランスで全編にふりかけられた美しきシンフォニック・アレンジ、そして聴く者の魂を極限まで高揚させるゴージャスなクワイアに彩られた、起承転結、動と静をデフォルメしてみせたこのアルバムは、メタル本来の持つエキサイトメントとリリシズム双方への欲求を完璧に満たさせてくれる。

また "Forest of Unicorns" で聴かれるように、トラッド/フォークの詫び寂びまでもを付け焼き刃を軽く超えるレベルで備えているのには本当に驚きを禁じ得ない。
こんなのがヒョコっと出てくるから Heavy Metal は ・・・面白い!!

満足度 : 97
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