Impressions
T.T. QUICK は 骨太なアメリカン R'n'R をスラッシュ/パワーメタルの音像で包み込んだ、豪快なメタル・バンドだった。タイプで言えば THUNDERHEAD に近かったかもしれない。この星条旗をデザインした全身タイツ着用のシンガーを擁したゴキゲン・ドライヴィング・メタルバンドの中で異彩を放っていたのが、ギタリスト David Di Pietro ---あの Zakk Wylde が師と仰ぐ、魂のプレーヤ--- である。
ペンタトニックをメインに据えたブルーズ=ベースのプレイを身上としているが、強力なのはフラッシーなテクニカル奏法をも身につけている点で、その華麗なフレージングと絶妙のタメ、強力なヴィブラートが繰り出す扇情力は「泣き野郎 in America」として既に絶大なステイタスを築いている Dave Meniketti と同等かそれ以上といっても過言ではない。そんな彼の官能的なプレイは、本作ラストに収録されているドラマティックなパワー・バラード "Siren Song" において絶品の泣きを演出している。
Eddie Kramer, Alex Perialas, Michael Wagener ら、今では VIP な連中によるパワフルなサウンド・メイキングも秀逸。
(1998/05/19:記)
満足度 : 87%