Impressions

陰陽座 / 夢幻泡影 (2004)

投稿日: 2004/03/20

この、BLACK SABBATH"Cross Purposes" とどこがどう違うねん!とつい突っ込みたくなる美麗なアートワークの持ち主は、我が国が誇る妖怪ヘヴィ・メタル・バンド 陰陽座 の 5th アルバム。

年一作のペースでリリースしているオリジナル・アルバムにおいて、作毎にその完成度を確実に上昇させている彼等だが、本作でもその例に漏れず、細部へのこだわりが満足感を生む素晴らしい内容に仕上げてきたのがサスガというか嬉しいわ。

相変わらず、疾走するメタル・チューン、正統派メロディック・ハード、おどろおどろしい怪奇プログレ、キャッチーなポップ・チューン、浮遊する清廉なバラード、そして歌えや騒げやのパーチーなロケンロー・・・と適材適所にコンパクトにまとられた全10曲がヴァラエティに溢れまくった楽曲スタイルでありながら、一本筋を通しているのは、ここにきて一気に強靭さを露わにしてきたヘヴィ・ボトムとそれが支えるスピード感を強調したメタリックにドライヴする音像の、これまでになくシリアスなダーク・カラー。

それでいて、歌詞との親和性も見事な歌メロの充実と恐れを知らないアレンジの拡幅の両面が呼び込む「ポップで軽快なメジャー感」をもしっかりと身に付け、全体を非常に洗練された印象で覆うことに成功させている・・・という、その余裕をも感じさせる器用さには驚かされるばかりだ。

先行シングルでもあるキャッチーな正統メロディック・メタル #3 "睡"、喚き立てるデス・ヴォイスを大胆に配して IN FLAMES 風味とも言えるアグレッシブな側面を垣間見せる #5 "舞頚"(途中の雅楽ヴォイスも◎!)、黒猫たん 渾身のロマンティックなバラード #9 "夢虫"、ちょい 筋肉少女帯 チックなお約束のロケンロー・ソング #10 "河童をどり" 等に代表されるこれまでのスタイルを踏襲した中でのハイ・レベルな楽曲の充実も目を見張るが、ユートピア系フラワー・チューン(って、ワケワカランね/笑)#7 "煙々羅" で聴けるある意味場違いな 60's 的ラヴ&ピース風味の存在も、非常に良いアクセントになっているかも。

しっかし、前作で開花した感のある 瞬火 の歌ったら、本作ではさらに艶やかに響き渡ってるねぇ。これまではやっぱ「陰陽座黒猫たん」って印象だったけど、黒猫たんが 歌ってるパートを聴いてる最中に既に次の 瞬火 パートの登場が待ち遠しくなってる今では、極端に言ってシンガーは 瞬火 一人でもいいかな・・・なんて思いが脳裏を過ぎるほど。いや、ホントにそうなっちゃったらメッチャ困るんだけどさ。(汗)

相変わらずたどたどしさを感じさせながら頑張るギター・プレイが、以前ほどそんなに気にならなくなってきたのが、果たして慣れ(or諦め)のせいかなのかどうかは、たぶん永遠の謎。(汗)
 (Mar. 02, 2004)

満足度 : 90
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