Impressions

PAIN OF SALVATION / One Hour by the Concrete Lake (1998)

投稿日: 1998/07/20

「誰にも似ていない」
天才完璧主義者 Daniel Gildenlow 率いる PAIN OF SALVATION が目指す道は「模倣ではないオリジナルのプログレッシブ・ロック」だろう。
世に存在するいわゆる「プログレ・メタル」の殆どが「プログレ的なアレンジを施したヘヴィ・メタル」なのに対し、この PAIN OF SALVATION は、あくまで「ヘヴィ・メタルの音色を併せ持った本物のプログレッシブ・ロック」。一筋縄では行かないテンションの効いたコード進行と、予測不能のリズム展開に翻弄されるうちに、マゾヒスティックな快感に支配されてしまう。
と言っても常に中心にあるのは「曲」で、奇を衒った「仕掛け」ではない。安定した超絶テクニックで、ある時は攻撃的にある時はムーディーにと緩急自在に綴られる3つの組曲は、喜怒哀楽のすべての感情を見事に表現しきっている。
前作 "Entropia" ではその実験的なサウンドが「詰め込み過ぎ」「未整理」と感じられる部分があったが、本作 "One Hour by the Concrete Lake" では更に実験的になっているにも関わらず、それぞれ一つ一つのパーツの存在理由や、そしてそれらが集合した「曲」に込められた意義が感じられるまでに成長しているのには驚くかぎり。
音楽面以外でも、几帳面に計算されたCDスリーブ/Webサイト/ニュースレターなどのパブリッシング・アイテムが「我々はA級バンドだ」と主張し、もはやその存在には風格すら感じてしまう。コリャ後に歴史的/伝説的なバンドとして語り継がれる事は確実だな。凄いバンドだぁ。

満足度 : 89
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