Impressions

ANGRA / Rebirth (2001)

投稿日: 2001/10/20

バンドの顔と言っても過言ではなかったシンガー Andre Matos の脱退に伴うバンド分裂という危機を、見事に乗り越えた感のある 4th アルバム。
過半数のメンバーを失ってしまった Kiko Loureiro, Rafael Bittencourt 両名の絶望に近い苦悩とバンド再建への様々な障害を察すると、そしてそれを克服してこうして素晴らしい作品を提示するに至った努力と情熱には本当に敬意を表するが、それは置いといてやっぱこの復活劇の立役者は、紛れもなくニュー・シンガー Eduardo Falaschi でしょ。
その山岳地帯に住まう草食動物系の風貌(失礼!/苦笑)からは想像もつかない堂々たる歌唱は、SYMBOLS 時代に感じられたやや圧迫感を伴う押しの強さはどこへやら、非常にスムースかつパワフルに安定したもので、これは意識してのことだろうが Andre Matos 的しなやかさをも備えるにも至る、文句のつけようのない歌いっぷり。Andre Matos の独特の女性的優美さ&か弱さを感じさせる部分に魅力を感じていたオレ的には、その部分が足りないのだけは少々残念に思うが、それを差し引いてもあり余る魅力をこのヤギ男・・・あわわわ、間違えた(汗)Eduardo Falaschi は確実に持ち合わせているのを実感できる。
そんな新生 ANGRA の新たな魅力となった新鮮な歌唱のベースとなる楽曲は、ユーロ・スタイルのメロディック・スピード・メタルに、ギター中心のテクニカル&プログレッシヴな香りとパーカッシヴなブラジリアン・テイストが醸し出すワールド・ミュージックの味わいを加味した従来通りの路線で、ANGRA らしい優美でしなやかなクラシカル・フィーリングもしっかりと健在。その骨格を支える新しいリズム隊も、ワールド・クラスのクオリティを備えてるし。
ただ欲を言えば、本作でその傾向として強く感じられる、昨今嬉しい盛り上がりを見せているイタリアン・シンフォ XaMetal 的な佇まいが痛し痒しなんだな。2nd "Holy Land" の次が本作だったら涙を流しながら[95]以上を付けたのは確実なんだけど、広義のヘヴィ・メタル&ハード・ロックを見渡した上でシーンのリーダーたる一歩先を見据えた視線の冴えを見せた未曾有の大傑作 "Fireworks" で感じさせた ANGRA の可能性を体感した後では、本作における手持ちの駒から逸脱しない類型的なアレンジの数々には、少々歯痒さを禁じ得ない。前作での Chris Tsangarides による抜群のギター・プロダクションも、今回の Dennis Ward には再現させる術がなかろうし。。。

まぁなんだかんだ言って、こーやってブー垂れつつも聴くたびに悶絶っすわ!(嬉笑)

満足度 : 96
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