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SHY / Shy (2011)

投稿日: 2011/11/02

SHY は自分にとって特別なバンドだ。劇的なハードネスとキャッチーなポップ・フィールを英国らしい憂いで包み込んだ "Brave the Storm"(2nd:1985), "Excess All Areas"(3rd:1987) という2枚の名盤で実践されてた「究極の哀愁ハード路線」は、当時やってたバンドで目指していたスタイルそのものだったりして、その思い入れの強さはハンパないレベル。

その後、他の多くのバンド同様に「90年代の洗礼」を受けて迷走後に解散。1999年に再結成されるも、その後の作品は端々に過去の遺産を見つけてはそこを注視することでわずかな喜びを見出すという、自分の中では「終わったバンド」的な立ち位置に堕ちてしまっていたのだが・・・この7年ぶりの9thアルバムを聴いて我が耳を疑った。バンドの顔でもあった極上ハイトーン・シンガー Tony Mills (vo/TNT) が脱退し、Lee Small (PHENOMENA, SURVEILLANCE) なる輩をその後任に迎えたというどちらかと言うとあまり食指の動かないベクトルの情報と共に、何の期待感もなくプレイボタンを押してスピーカーから流れ出てきたのは・・・なんと、まさに往年の SHY の魅力を現代にアップデートさせたかの珠玉の哀愁ハードだったのだ。

近作で聴かせたマイルドな感触とは意を異にする重厚なブリティシュ・ハード色、そして新任シンガー Lee Small による Danny Vaughn (vo/TYKETTO) にも似たブルージー風味のエモーションを湛えたガッツィーな強力歌唱が、初期の SHY に漲っていた劇的な魅力を注入された極上の楽曲群と混ざり合う様は、これまでの Tony Mills の大きな功績を忘却の彼方に葬り去る勢いで(Tony、スマン…)己の「SHY 愛」を刺激する。#1 "Land of a Thousand Lies", #2 "So Many Tears" という超強力な冒頭2曲に代表される、これまでになく壮麗なシンフォニックアレンジとメタリックな硬度を纏いながらもメロディアス・ハードのフィールドに生きてきたバンドらしいキャッチーな哀感を溢れさす一級品の哀愁ハード・チューンズは、思わず眉に皺が寄るメランコリックなマイナーキー攻撃の合間にふと見せる安堵の瞬間がMY琴線を揺さぶりまくる。

そして本作で特筆すべきはやはり、ブレイン Steve Harris (g) の構築美&様式美に満ちたギター・ワークの有り得ない充実だろう。病魔と戦う中で死力を振り絞ったかの彼の渾身のプレイは、過去作とは比較にならぬほど鬼気迫るエモーションを放っている・・・とか思ってたところに・・・ちょうど届いたのが・・・彼の訃報・・・。(涙)

・・・なんか、妙に納得してしまった。本作から感じ取ることのできるこれまでにない情念はやはり、自らに残された時間を知っていたからこその物なのだろう。そう考えると、悲しいが本作を今更ながらにセルフタイトルにした意図も見えてくる。がしかし、こうして自分が世を去った後も語り継がれる痕跡を遺せるのはミュージシャンの特権であり、Steve はそれを見事に全うした。もし俺にも死期を悟らなければならない時が訪れるのであれば、こういう作品を遺してこの世を去りたい。本作は、そこまで思わせる傑作だと思う。(しんみり)

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