Impressions
1992年にその活動を停止していた「北欧メタルの始祖」EUROPE が、12年もの歳月を経てまさかの復活作をリリース。
一応 "The Final Countdown" リリース当時のゴールデン・メンバー5人が再集合してはいるが、既にキラキラ北欧メタラーのグローリー・ロードからは残念ながら外れてしまっている彼らが現在の感性で作り上げた「クラシックなハード・ロック」は、淡白な暗さを残響感の少ない乾いた音像に滲ませた、ダウン・チューンの効いたグランジーなグルーヴが支配するややヘヴィな今時系北欧ロック。うーん、ほぼ予想通りのスタイルだな。
ということで、本作には過去の EUROPE らしさはほぼ皆無なんだけど、各メンバそれぞれがこの12年間にアウトプットしてきた内容が、この再結成における「初期の水晶の如きメロディを湛えたドラマティックなヘヴィ・メタルの再現」への期待を既に完全に諦めさせてくれていたので、それによるダメージもこれまたほぼ皆無。
ってか、ダメージ云々どころか、過去の EUROPE と切り離して考えれば本作の内容は決して悪くないよ。コレ。ほの暗い中に美しさを確実に染み込ませた北欧の情景的な哀愁を漂わせるタイトル・トラック #2 "Start from the Dark" をはじめ、適度な淡白さを持った適度な郷愁感が田園ドライヴのお供に最適・・・って感じの、気負わずに聴ける好盤になるかも。
ま、過去と楽曲スタイルが違うものだとしても、Joey Tempest の明快な歌声と John Norum のエモーショナルな野太いギター・ワークのコラボレーションが生む懐かしい響きが、なんだかんだ言ってある種のノスタルジを運んできちゃうのは確かなんだけどね。ボーナスとして収録された Sweden Rock Festival 2004 でのライヴ・トラック #13 "Seven Doors Hotel", #14 "Wings of Tomorrow" を聴くと、なおさらそう感じるわ。テンポ超遅いけど。(汗)
(Sep. 25, 2004)