Impressions

THUNDERSTONE / The Burning (2004)

投稿日: 2004/01/20

フィンランドのメロディック・メタル・バンド THUNDERSTONE の 2nd アルバム。

一聴して驚いたのが、シンガー Pasi Rantanen から噴出する前作とは別人レベルの強力な気迫。元々、意外な表現力の多彩さを見せつつもどこか頼りなさげだったその歌唱から一転、Mats LevénJenny Lindkuist かっちゅーワイルドさを身に付けた自信に満ちた歌唱の勢いの良さは、この THUNDERSTONE の手本と称されている STRATOVARIUS, SONATA ARCTICA 両バンドのそれを一気に陵駕せんと思わせるほどに逞しい。

そんな Pasi の発奮に引っ張られてか、楽曲自体も随分と逞しさを増した印象だ。STRATOVARIUS のクールでインテリジェントなスマートさと、分散和音を使った乾いたファスト・フレーズを配しつつ決してネオ=クラシカルな質感ではない SONATA ARCTICA 的なスピード・メタル・テイストを併せ持った真っ当に高品質なメロディック・メタルは、確かにいわゆる「Baby Metal」な(苦笑)お行儀の良さを前作同様に漂わせてはいるんだけど、そのステンレスな質感に輝く端正な整合感の隙間からアグレッシヴなエナジーを迸らせまくってるんだよね。所々で聴ける、ソリッドなリフとキックのヘヴィなシンクロ技が描く感触は、「ブルータル」と形容しても過言ではないほど。

じっくりゆっくりスロー・スタートを切る #1 "Until We Touch the Burning Sun" こそ拍子抜けレベルのマターリとした空気が流れるものの、続く #2 "Break the Emotions" そして #4 "Tin Star Man" という魅惑の歌唱&メロディを主役に疾走するファスト・チューンズ、そして現在の THUNDERSTONE が最も魅力的に響かせているだろう #8 "Drawn to the Flame", #10 "Evil Within" らの、往年の北欧メタルの遺産を受け継ぐミドル=ハイ・テンポの中庸チューンズ(どっちも聴き様によっては ROYAL HUNT っぽくもある?)・・・と聴き応えのある楽曲も多く、その正統派でありつつ攻撃的な手触りは現在の NOCTURNAL RITES に近づいたとも言えるのかも。

惜しむらくは、そして丁寧さゆえの「こぢんまり感」、そして Nino Laurenne (g), Kari Tornack (key) の上物コンビが弾きまくる決して悪くないテクニカル・フレーズが、プレイ自体の魅力がイマイチ希薄なために「ピロピロ感」を匂わせてしまっている点・・・かな。

それでも、Wacken Open Air 2002 での素人くさいパフォーマンスが嘘のような、MANOWAR の雄々しきバラード #13 "Heart of Steel" のカヴァーが違和感無いほどに似合う逞しい出で立ちに成長したのは、素直に嬉しいデス。

 (Jan. 28, 2004)

満足度 : 87
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