Impressions
フィンランド産メランコリック・ゴシック・メタル・バンド CHARON の 4th アルバム。
哀愁のメロディがノリノリにドライヴィングするゴシック&ロールな装いはこれまで通りながら、音の端々から何か風格めいたものが顔を覗かせる全体的に一段ステップ・アップしたかの印象だ。
とにかく単純に曲が良いんだな。8分のダウン・ストロークで掻き鳴らされるリフが主導するだけではないヴァラエティ感のあるフックの充実が、コレ系にありがちな“飽き”を誘わせないってのが強いわ。
パッションがエネルギッシュに炸裂するキャッチーなサウンドでありながら、全体を包み込む適度にダラダラしたグルーヴの空気感が、Travis Smith の手による Opeth 系アート・ワークそのままの内省系ゴシック風味のダークな色彩を描いているのも非常に高ポイント。
言うまでもなく、看板シンガー J-P Leppaluoto が落ち着きあるプチ・ディープなセクシー・ヴォイスで綴る歌メロにも、その声質の魅力のみならずフレーズ配置の巧みさも手伝って実に上手い具合に耳を捉えられる。そういえばこの歌メロ、どことなく Klaus Meine (SCORPIONS) に通じるメロディセンスを感じるんだよね。
その哀愁メロディを支える、最近どこにでも顔を出しがちな(苦笑)Marco Hietala (TAROT, NIGHTWISH) と女性オペラ・シンガー Jenny Heinonen という2人の特徴的なバック・コーラスの仕事も効果的だ。
そしてやっぱり気になって仕方ないのが(苦笑)、リード・ギタリスト Pasi Sipila のギター・プレイ。エモーショナルに弾きまくりつつ、適所でハーモニーを絡めながらテクニカルな構築美のアピールも決して忘れない素晴らしいソロ・ワークには、ほんと惚れ惚れさせられますわ。しかも何気にブロンドな美形だッちゅーんだから世の中オカシイよなぁ。(笑)
ちなみに、限定デジパックのボーナス・トラック #13 "Re-Collected" は、ボーナスでありながら本編を食う勢いの名曲ッスよ♪
(Dec. 29, 2003)