Impressions

TIME REQUIEM / Time Requiem (2002)

投稿日: 2002/10/20

鍵盤魔人 Richard Andersson 率いるスウェーデンのネオ=クラシカル・メタル・バンド MAJESTIC が、その名を諸事情から TIME REQUIEM と変更しての再起第一弾。
が、バンド名だけが変わったのかというと決してそうではなく、MAJESTICYngwie 型ネオ=クラシカル様式美一直線だったのに対してこの TIME REQUIEM では DREAM THEATERSYMPHONY X に通じるプログレッシヴな広がりを大幅に導入、その新鮮な装い、はこの TIME REQUIEM を「新たなバンドとして認識すべきだ」と主張している。
そして、本作の最大の聴きどころは、やっぱ鍵盤魔人 Richard Andersson の良質のエゴの塊のような鬼神の如き弾きまくり。
9分を超えるプログレッシヴなタイトル・トラック #1 "Time Requiem" で幕を開け、早くも登場するこの新生 TIME REQUIEM の魅力のすべてが詰まった悶絶疾走チューン #2 "Watching the Tower of Skies"、キャッチーな悶絶疾走曲 #3 "Milagros Charm"、リリカルなイントロから一転して美しきヘヴィさを発散する #4 "The Aphorism"、アンビリーヴァボーなまでにぎっしりと音符を詰め込んだ歴史的に超絶な疾走インスト #5 "Brutal Mentor"、「"Marching Out" 期」の Yngwie のナイスな雰囲気に DREAM THEATER の味わいを無理やり融合させた(苦笑)#6 "Visions of New Dawn"、クラシックの名曲その他を問答無用の力技で完璧にコラージュしたハイライト・チューン #7 "Grand Opus"Peter Wildoer (Dr) の激テクが炸裂するフリー・フォーム風味なインスト #8 "Interplay of Matters"MAJESTIC の遺産とも言える王道ネオ=クラシカル #9 "Above and Beyond"、そして本編とは一味違ったポップな魅力を聴かせるボーナス・トラック #10 "Losers Shades of Hell" と、全曲がクライマックスなこの作品中、どの曲でも Richard が電子楽器の限界と思えるようなエモーションを込めながらとにかく弾いて弾いて弾いて弾き倒す様は圧巻の一言で、キーボード・ソロが終わって「さぁ、ここでギター・ソロにスイッチだ!」と身構える間もなく別のチャンネルから更なるキーボード・ソロが前乗りで傾れ込んできた時には「驚き→笑い→感動」いうように3種の感情がコンマ数秒の間に変遷しましたとも、えぇ! 聴いてるだけで指のあたりがむずむずとしだし、そのうち何故か手の甲の筋肉が吊ってくるという前人未到の経験が味わえるこれこそ、まさに「神盤」と呼ぶに相応しいですわ。
もちろん Richard 以外の活躍も聴き物で、素晴らしいメロディを歌い上げる Apollo Papathanasio の適度に荒れた歌唱も、このバンドに「Baby Metal」ではない男らしさを加味しているし、本作から参加の 元 ARMAGEDDON/現 LAST TRIBE の若きテクニシャン Dick LowgrenRichard の超絶フレーズに対して鬼のように激しくユニゾる様も超々スリリング。
ま、相変わらずパクリッシュ全開な泥棒系メタル(笑)ではあるんだけど、セコいコソ泥だったら貶すところが、このバンドったらルパーン級の世紀の大怪盗なんで逆にヒーロー視するくらいが丁度いいかと。(笑)

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