Impressions
PORCUPINE TREE / Deadwing (2005)
投稿日: 2005/04/20
OPETH の大傑作 "Blackwater Park" 以降の作品でプロデュースを担当し続けている Steven Wilson (g,vo) 率いる、英国のネオ=プログレッシヴ・モダン・ロック・バンド PORCUPINE TREE の8thアルバム。
意外にも快活に跳ねるオープニングのタイトル・トラック #1 "Deadwing" が始まった瞬間にこの PORCUPINE TREE が只者ではないことがすぐさま判る上等なオーラに包まれたモダンなサウンドは、完全にメジャーな UK ロック・バンド然としたクリアな音像ながら、物理的にへヴィなギター・ワークと精神的にヘヴィなサイケデリックなトリップ感が備わったもの。
牧歌的な平穏さの中に脈打つ隙のない不穏な前衛的なアレンジは、なるほど OPETH の近作群との共通点を端々に感じさせていて、その OPETH の Mikael Åkerfeldt (vo,g) が歌とギター・ソロで客演した12分のプログレッシヴ大作 #5 "Arriving Somewhere But Not Here" や静かな哀感をジワジワ盛り上げてゆく変拍子の冴えが素敵な #8 "The Start of Something Beautiful" などは、陰鬱プログレ・ファンとしては無条件にグッときてしまうね。
全体を覆う安穏なユートピアン・フィール、そして鬱なる混沌をカルチャーとして呑み込んだオサーレな空気感が魅力でもあり違和感でもある、不思議でそれでいて先駆者的な奥深さに満ちたこの PORCUPINE TREE 独特の音世界、過去の作品も遡って聴いてみたくなったデス。
(Apr. 24, 2005)
満足度 : 82%