Impressions
フランスの天才ギター・ヴァチューソ Stephan Forte 率いるテクニカル・プログレッシヴ・メタル・バンド ADAGIO の 3rd アルバム。
看板シンガー David Readman (PINK CREAM 69) がまさかの離脱、後任としてブラジル人シンガー Gus Monsanto (ex-ANGEL HEART, OVERDOSE) を迎えて転機を図る本作は、これまでに比べて幾分ストレートなメタル・エナジーを封じ込めつつ、Stephan が現在心酔しているシンフォ・ブラック趣味を反映させたダーク側面も強調した欲張りな一枚となった。
注目のニュー・シンガー Gus は予想以上に上手く、David Readman っぽさを(たぶん意識的に)違和感なく継承した丁寧かつパッショネイトな歌いっぷりは、課せられた重責を見事に果たしていると感じさせる。が、いざ楽曲に目を移してみると、前述の欲張りさが仇となって全体でも楽曲単位でも散漫な印象のやや小粒な一枚になってしまった・・・かなぁ?
イントロのギター・フレーズの悶絶感とサビのメロディックな超速疾走でツカミは OK の #1 "Fire Forever"、Stephan 自身が発するデス・ヴォイスを大胆にフィーチュアして禍々しいアグレッションを描く #2 "Dominate"、いかにも ADAGIO らしいドラマティックに展開美を見せる #4 "Children of the Dead Lake"、これまた邪悪な側面を垣間見せる8分超の大作 #5 "R'lyeh the Dead"、Gus がマイルド・サイドのメロハー歌唱をアピールするピアノ・バラード #7 "Kissing the Crow" ・・・と、どの曲も水準以上の出来栄えではあるものの、「芯」の部分がイマイチこちら側に伝わってき難いもどかしさを感じてしまう。。
加えて、レンジの狭いプロダクション、マジックが希薄なアンサンブル、微妙にツヴォを外しているハーモニーの形成・・・と、どうしても悪いところに注意を引かれてしまうけど、それらはこれまでのアルバムが完璧だっただけに理想/期待が高かったせいだろうな。実際、こうして書きながら何度もリピートしてるうちに、だんだん・・・というよりカナーリ良くなってきてたりして。(^o^;
ま、今回は Gus のお披露目ってことで、引き続き次作以降にも期待デス。
(Dec. 20, 2005)