Impressions
スイスのシンフォニック・メタル・バンド LUNATICA の 2nd アルバム。
なかなかに惹きのあるその幻想的なバンド名と、それにマッチする美麗なアート・ワークに魅せられるうち、スタート・ボタンを押して流れ出たイントロダクション #1 "The Search Goes On" の雄大な情景を瞼に浮かばせる有機的なシンフォニック・オーケストレーションの妙味にまずは驚愕。
そして #2 "Avalon", #3 "Elements"・・・ と続いてゆく、軽やかにヒットするストリングス・リフの上で、悪く言えば素人クサい・・・良く言えば純朴で可憐な Andrea 嬢のクリア・ヴォイスが癒しフィーリングを振りまく NIGHTWISH ~ EDENBRIDGE の系譜に連なる楽曲のドラマティックかつキャッチーな魅力の発散具合も実にナイスだ。
とにかく、Tuomas (NIGHTWISH) に通じる不敵な笑みを湛える鍵盤奏者 Alex と本作のアレンジ&プロデュースを手がけた Domencio Livrano が共同作業で構築した、上辺だけではないシッカリとしたクラシック・アンサンブルの素養を感じさせるオーケストレーションのクオリティとそれが生む悶絶感はかなり美味しいな。女声耽美ゴシックの香りを漂わせる EVANESCENSE 風味のデジタルな装いの導入など、なかなか豊富なアレンジ力を感じさせるのも◎。
そんなにウワモノの充実度に反して、楽曲やそれを構成するメロディのパターンの少なさや、捻りの少ない正攻法な展開の連続によるスリルの欠如など、根本的な中枢部分に物足りなさを感じてしまうのが惜しいところ。あ、ギターの活躍度も低いしね。(苦笑)
とはいえ、本編ラストの #10 "A Little Moment of Desperation" で聴ける「NIGHTWISH 化した BLACKMORE'S NIGHT」とも形容できる民謡ちっくな悶絶フレーズ攻撃をはじめ、殺傷力の非常に高い一瞬一瞬の場面に遭遇することは決して少なくないではあるので、この LUNATICA の今後の作品に期待をし続けることは間違いないデスわ。
(Sep. 25, 2004)