Impressions
名古屋を拠点に活動する日本のプログレッシヴ・ハード・ロック・バンド REGULUS のデビュー・アルバム。
メンバー5人中3人が同郷の様式系ハード・ロック・バンド RACHEL MOTHER GOOSE の元メンバーで、このバンドでも Shigeo Suzuki (g) の超 Ritchie Blackmore タイプのギター、Jon Tama (key/ROSEBULLET, ex-RACHEL MOTHER GOOSE) の超 Jon Lord タイプのオルガン、そして Mikio Ogawa (dr/RAHU, ex-RACHEL MOTHER GOOSE, BELLFAST, etc.) の超々々 Ian Paice タイプのドラムがしっかりとフィーチュアされているのだが、それでいて決してありがちな凡百の DEEP PURPLE (and RAINBOW) フォロワーに留まってない・・・というか、どっちかというと SCHEHERAZADE 〜 NOVELA 〜 GERARD というかつての関西プログレ・ハード勢の流れを汲みまくりな印象を受けるのが面白い。
一筋縄ではいかない独特の展開美をダイナミックに繰り返す演奏パートに対し女性シンガー Mikka (vo/RAHU, ROSEBULLET, ex-RACHEL MOTHER GOOSE) が円熟のエモーショナル歌唱(日本語詞)でその手綱をグッと締め、それを万華鏡のようにカラフルなコーラス・ワークが包み込んでいくその様子は、まるで天体図の如くファンタジックだ。メンバー皆が老獪な手練衆(苦笑)ということで、ガツガツと煽っていくというよりは各々の技から滲み出る本気度を真摯に織り重ねていく感じなんだけど、その「音で語る」という職人芸的な落ち着いた攻め方がジワジワと来るんですわこれが。
オープニングに置かれた #1 "Run to the River" はその最たる物で、いきなりの「ゆったりソング」(笑)にもかかわらずその“余裕”がスリルを生み出すという離れ業をやってのけているのが凄い。その後ポップだったりミステリアスだったりもする様々なヴァラエティを見せながら進んでいく中で、やはり #4 "Regulus" と #9 "Compass Rose version 2012" という鳥肌モノにクラシカルな展開を見せる中間部を持つ2曲が耳を惹くね。あ、後者は Metal bless JAPAN の "Rising Sun - 東日本大震災チャリティー・アルバム" に提供したイントロ付きバージョンの方が好みデス。