Impressions
OLD MAN'S CHILD / In Defiance of Existence (2003)
現在は DIMMU BORGIR にも在籍する Galder (vo,g,b,key) が主宰するノルウェーのシンフォニック・ブラック・プロジェクト OLD MAN'S CHILD の、Fredrik Nordstrom プロデュースな 5th アルバム。
本作での OLD MAN'S CHILD は、Galder そして旧知の Jardar (g) そして元 CRADLE OF FILTH ~ 現 DIMMU BORGIR の Nicholas Barker (dr) という3人組の布陣。
そんな流血白塗りハゲ3人衆(山海塾状態!/笑)が奏でるのは、同系統ではトップ・クラスの整合感とクリアなプロダクションを誇る、コレまで同様にクオリティの高いドラマティックなシンフォニック・ブラック・メタル。激烈ブラストを織り込みながら壮麗なオーケストレーションが禍々しくも耽美な雰囲気を盛り立てる背徳の香りに包まれた楽曲が、伝統的なヘヴィ・メタルの手法で奏でられている・・・という点が、相変わらず取っ付き易さを生んでいるんだな。ほとんどの曲が4分台とコンパクトなのも、各曲に対する感情移入がしやすくて◎。
ただ、一般的な意味での質の上昇とは裏腹に、独特の魅力だった寒々しいムードは残念ながら作を重ねる毎に減退してきている気が・・・。もしかしたら Galder の中に「DIMMU BORGIR のメンバーであるという保険」みたいな気持ちがあって、それが「OLD MAN'S CHILD」という名前の神通力が薄れさせているのかな・・・なん~て邪推してみたりね。
とは言いつつ、ゲストの Gus G. (DREAM EVIL, FIREWIND, MYSTIC PROPHECY) が素晴らしく煽情的なギター・ソロを披露するオープニング・チューン #1 "Felonies of the Christian Art"、そしてあまりに美しすぎるアコースティックな小曲 #7 "In Quest of Enigmatic Dreams" をイントロに持つ #8 "The Underworld Domains" などは文句なく悶絶級なんだけど。
そしてこのアートワークは、今年コレまでリリースされた作品の中では最強にツボ!
(Feb. 26, 2003)