Impressions
スウェーデンのメロディック・デス・メタル・バンド UNMOORED の 3rd アルバム。
ブラック・メタル真っ青の激烈な細動ブラストの壁をも呼び寄せながら、大鉈を振るうが如きヘヴィなアタックを強烈に響かせるスラッシュ・リフ、そしてそれに乗る威圧的なデス・ヴォイスが齎す暴虐美と、優美な場面転換とともにクリーン・ヴォーカルによって歌われるコーラス・メロディの叙情美との対比が至情のカタルシスを生む、初期 ARCH ENEMY meets SOILWORK とも言える嬉しい作風の一枚だ。
シンセやヴァイオリンを主旋律のバックアップ&味付け程度に ---とはいえ効果的に--- 配しつつも、主には鋼柔両面から攻め立てるギター・ワークの妙が楽曲を引っ張っていくスタイルなのだが、その要であるギタリスト Tomas Johansson の奏でる我がツボにドンピシャリのネオ=クラシカルな悶絶系テクニカル・プレイが、マジで素晴らしいったらありゃしない!
絶妙な涙腺刺激センスで構築されたそのリード・プレイは #1 "Unspeakable Grief", #3 "Leave-Taking", #6 "Cinders Veil", #7 "Spit Forth from Failure" という本作におけるハイライト・チューンの数々で凄まじいまでの泣きっぷりを惜しげもなく披露しているが、中でも #6 "Cinders Veil" のエンディング・ソロでの悶絶度はマヂでヤヴァいわ。
「暗黒エクストリーム・メタル全部入り」ってな少々ヤリ過ぎ感もある(苦笑)濃密な内容ゆえ、ついついお腹イパーイになってしまいそうな本作なんだけど、所々で色々詰め込み過ぎだったり展開に脈絡がなかったりという気になるポイントを感じつつも、全8曲46分というコンパクトさ&重量感溢れる厚みのあるサウンドの心地良さに助けられて、悶絶感を保ったまま一気に聴き通してそのままもう一回リピート・・・の繰り返し。
ラストを、全編クリーン・ヴォーカルで歌われるゴシカルなバラード #8 "Final State Part III (Posthumous Writings)" でメロウに締め括るのも、非常にイイ感じデス。
(Dec. 04, 2003)