Impressions
スウェディッシュ・プログレッシヴ・ポップ・バンド A.C.T の 3rd アルバム。
ポップ・ミュージックの楽しさ&明快さ、テクニカル・ロックのスリル、シンフォニック・ロックの優雅さ、A.O.R. のスムースな渋みという一見無茶な組み合わせの要素が奇跡的なバランスの良さで融合している・・・という、キラキラと輝きを放ちながらプリティに転がる万華鏡サウンドは本作でも健在。(嬉)
気負いのないソフトな歌唱が耳当たりの良いシンガー Herman Saming、優美でノスタルジックなキーボード・ワークを Jerry Sahlin、そしてナイーヴなフレージングにテクニカルな煌きも忘れないギタリスト/リーダー Ola Andersson らの熟達したメンツが「大人のテクニック」で聴かせる VALENTINE / VALENSIA, JELLYFISH らを髣髴させる QUEEN テイストの華麗でドラマティックな甘口ポップ・ロックのベースに DREAM THEATER 的な技巧派プログレのスリリングなアンサンブルをぶち込むという既に確率された感がある A.C.T 独特のスタイルを持つ楽曲群は、これまで以上に各曲の輪郭をはっきりと感じ取れる絶妙なアレンジメントも手伝って本作ではさらに進化を遂げた印象で、そのインパクトは名作だった 1st を凌駕するほど。
美旋律が軽快に広がるオープニングの #2 "Wailings from a Building"、彼らのドラマティックな魅力を凝縮した #4 "Torn by a Phrase: Garden"、DREAM THEATER からの影響の高さが窺える #9 "A Loaded Situation: Surveying Room"、サビでの VALENTINE 風メロディが何度聴いてもグッと胸に来ちゃう #11 "The Cause" らの典型的 A.C.T スタイルの曲もさることながら、淡々と綴られる叙情がたまらん #5 "Ted's Ballad: Attic"、A.O.R. 風味のアダルトなソフト・ロック #7 "Wake Up: Apartment 122", #10 "The Observer" らのメロウ・サイドも超充実。
ここに挙げきれなかった曲もどれもフックに満ちた佳曲揃いで、滅多に登場することのないまさに「捨て曲なし」の一枚。いや~、ホンマ、リラックスしながら適度な緊張に心地良く浸れる逸品ッスわコリャ。
あ、もしかしたら、オレが今は亡き IT BITES に望んでたのは、こーゆー音だったのかもな。。。 (Jan. 21, 2003)