Impressions
Arise Records からの新たな刺客は、男女ツイン・ヴォーカル&ツイン・キーボードの8人組スパニッシュ XaMetaler ARWEN。
メロディの組み立て方がレーベルの先輩 DARK MOOR を彷彿させる楽曲は、壮麗なキーボード・ワークとテクニカル・ギターが乱舞するという近年類型的になりつつあるユーロ・シンフォニック・メタルまっしぐらなスタイルなんだけど、そんな中で一聴してこの耳を捉えたのが男声シンガー Nacho Ruiz の歌唱力。伸びのあるパワフルなハイ・トーンと柔和なソフト・ヴォイスを絶妙に織り交ぜた抑揚に満ちたその歌唱は、この手の XaMetal バンド的には非常に強力な武器だ。
が、所々で悶絶しそうになるパートを断続させつつもやはり決め手に欠けてしまう楽曲群、そして奥行きの浅さ&響きの少なさを感じさせるややチープげなプロダクション(特にギター・パート)は、本作にググッと移入させるのを阻んでしまっている気がするなぁ。
メインで歌う Nacho に控えめに絡む女声シンガー Mamen Carmen Castano 嬢の歌声がイマイチ特長に欠けるのも、ルックス的にはカナーリ激萌えなだけに至極残念・・・。
それでも、この ARWEN の特色とも言えるしっとりとした味わいのある「引き」の部分に大いなる魅力を見出してはいるので、もしプログレッシヴな側面、そして #5 "Alone", #9 "Eternally" で聴けるしっとりとしたメロウなフィールドに軸足をおいたコンセプト・アルバムなんかをしっかりしたプロダクションで作っちゃったりしたら、凄そうなんだけどな。うむ、次作に大いに期待。
満足度 : 77%