Impressions
METAL MAJESTY / Metal Majesty (2003)
オランダのナルシスティック・アーティスト Valensia Clarkson(なぜか今回はファミリーネーム付きのクレジット)が、実弟 David Clarkson (dr) と組んだプロジェクトのデビュー作。
そのプロジェクト名が語るとおりメタリックな方向にフォーカスを合せた作風・・・との宣伝文句を聞いていたし、オープニング・チューンの曲名がいきなり "Grim Reeper" だったりするもんだから(笑)いったいどんなのが飛び出してくるんだ!? …と身構えしてたけど、これまでの VALENSIA 名義のアルバムよりも Valensia 自身によるギター・パートを強調した彼の関連作品中最もハードな音像ではあるけど、全然「METAL」って程ではなく「活発にロックしてる」ってレベル。
まぁ、そんなメタル・テイストの加減云々は、ピアノとオーケストレーションとコーラスがマジカルに交錯する基本部分の甘く切ない味わいの不変な魅力の前には、大きな問題ではないんだけどね。
エスニックをやや抑えてハードなギターのエッジを全面に出したことで、従来通りの賑やかさに満ちたカラフルなポップ・ワールドが幾分ストレートに響いてくるという効果が生まれていて、#7 "Deborah", #11 "Everytime It Rains Again" というメロウな曲々が「ドリーミングな“普通の”A.O.R. チューン」として見事に映えているのが嬉しい。
しっかしまぁ、#8 "His Highness Hybris", #9 "Maiden Head" という2曲の小曲をイントロとして従えた Valensia の魅力全部入りの悶絶曲 #10 "Licence to Chill"(なんちゅー曲名だ/笑)をはじめ、本作でも随所で大々的にフィーチュアされている超モノホンチックな QUEEN テイストは、ホント美味しすぎるわ。Freddie Mercury の声はおろか Brian May のギター・プレイまで一人でやっちゃうんだから、もう DNA レベルで QUEEN の素養が備わってるとしか思えない。
悪い言い方をすれば「単なる物真似」なんだけど、よくよく聴くと、手法と表現方法こそモロに QUEEN のものなんだけど、フレーズそのものやアレンジの骨格部分からは、確実に天才アーティスト Valensia 独自のものが感じられるんだよね。確かに QUEEN っぽいって要素も大きな魅力だけれど、この「Valensia らしさ」がオレにとってはイイ感じなんだわ。
これまでの作品の端々から「こりゃ相当なテクニシャンじゃん!?」と感じてた Valensia 自身のギター・プレイは、ここまで前面に出てくるとちょっと粗さが目立つかな? いやいや、充分に上手いし、Brian May フォロワーとしては満点以上だからイイんだけどさ~。
(Dec. 18, 2003)