Impressions
FINSTERFORST / Rastlos (2012)
ドイツの7人組フォーク・メタル(自称:Black Forest Metal)・バンド FINSTERFORST の3rdアルバム。
専任アコーディオン奏者を大きくフィーチュアして“FINNTROLL meets EQUILIBRIUM”(もしくは ENSIFERUM meets KORPIKLAANI・笑)とも言える軽妙な民俗疾走を聴かせた1stから、それに加えて WINDIR や MOONSORROW らに通じるエピックな萌芽が見られた2ndを経て、本3rdではなんと完全に MOONSORROW 化。
が、決してフォロワーに堕してしまったというわけではない。その荘厳に広がるシリアスな情景描写力がこれまでの FINSTERFORST に欠けていた“芯”の部分に相当するストロングな魅力を生み出したことで、1stから元来備わっていた独特の民俗センスさが「収まるべきところに収まった」的な心地好さを発しているのだ。
静謐な黒き森の深部まで一気に惹き込まれるような #1 "Nichts als Asche" に始まる全7曲中5曲が10分以上の尺(てかそれらを除く2曲は短いS.E.)で、しかもラストを締める #7 "Flammenrausch" は22分を超える大曲。そんな超とっつき難い構成(実際どの曲がどうだか何度聴いてもよくわからんw)だけど、緩急の“急”の方に多彩なフックを仕掛けることで悠久の時流の如くゆったりした流れの中に「攻撃的なメタル」としてのエキサイトメントを息衝かせている様には、正直、やや「どっしり構え過ぎ」な感のある本家 MOONSORROW の近作よりも聴く姿勢を若干前屈みにさせるパワーが漲っていると思えるデス。
狂いおしいまでのエピック・ワールドを存分に堪能できる凄絶なフォーキー・サウンドスケープ。いいっす!