Impressions
DREAM THEATER / The Astonishing (2016)
現代プログレッシヴ・メタル・シーンを牽引する旗手 DREAM THEATER の通算13枚目のスタジオ作は、2枚組34曲、全収録時間は2時間11分にも及ぶ超々大作。
中世なんだか未来なんだかよくわからない架空の世界を支配する帝国とそれに対する反乱軍を取り巻く人間模様?を描いたコンセプト・アルバムらしいが、その設定&ストーリーがあまりに陳腐なので、コンセプト云々については割愛。(笑)
所々に短いインタールードを挟みながら主に3〜5分台のコンパクトな曲を矢継ぎ早に繰り出すという構成は、いかにもコンセプト作らしくもこれまでの DREAM THEATER にはなかったものだが・・・というか・・・とにかく、どの曲も面白いほどに全く印象に残ってこない。スリリングに畳み込むメタリックな手法を控え、RUSH で CAMEL で GENESIS で YES で PINK FLOYD で QUEEN な往年のプログレッシヴ黄金比を満たそうとする各曲の雰囲気は決して悪くないし狙いも解る。City of Prague Philharmonic Orchestra によるフルオーケストラな装飾の壮麗さにも目を瞠る。けど、歌メロの魅力の希薄さ、そしてポンプ・ロック的な情景描写に主眼を置いただろうその穏やかさがあまりに連続する様子にはついつい眠気が...。
全編通してなんとなく「お?」と思ったのは Act1#13 "A Life Left Behind", #19 "A New Beginning" くらいかな... 全体通して John Petrucci (g) の悶絶ソロも少なめだし、ドラムなんて一通り聴き終わってから「あれ? ドラム、今も Mike Mangini だった・・・?よね・・・?」と思ってしまうような存在感の薄さだし。まぁキャリアが長く続けば、中にはエピックで実験的な作品も出てくるだろうし、本作がたぶんそれに当てはまるんだろうけど・・・。
DREAM THEATER の作品はどれも濃密で聴き込む毎に新しい発見があるから、数年後にはまた印象変わってるかもしれないけど、とりあえずファースト・インプレッションとしてはこんな感じかな。てか、2時間11分も集中して聴く時間が取れる日なんてあんまりないっちゅーの!(笑)