Impressions

RHAPSODY OF FIRE / The Frozen Tears of Angels (2010)

投稿日: 2010/04/30

イタリアが生んだファンタジック・メタルの至宝 RHAPSODY OF FIRE の7thアルバム。("OF FIRE" が付く前から通算)

2003年に Joey DeMaio (b/MANOWAR) 主宰のレーベル Magic Circle に移籍して以降は作品・活動共に非常に低調な印象だったが、法的係争の末その Magic Circle から大手 Nuclear Blast へと居を移すことに成功。本作はその長き不遇の時期の鬱憤を一気に晴らそうとせん意欲的な出来栄えとなった。

5th "Symphony of Enchanted Lands II -The Dark Secret-" で幕を開けたエピック・ストーリー「ダーク・シークレット・サーガ」の第三章を語る本作は、大仰なプロローグに続く #2 "Sea of Fate" をはじめ1st〜2ndでの感触に近いキャッチーな躍動感を込めた楽曲が連なる作風に。オーケストラル・パートは壮麗でありながらあくまで引き立て役に留め、抑揚に満ちた歌メロの流れと劇的な展開の妙を武器に極上のカタルシスを呼び込んでいく手法は、まさに原点への立ち戻りを感じさせるものだ。

個々の楽曲を見ても、アグレッシヴなグリム・ヴォイスと壮麗なクワイアが戦う傑作オペラティック・メタル・チューン #4 "Reign of Terror"、エピカルな疾走感を星空に飛翔させる #6 "Raging Starfire"、そしてヒロイックなドラマティカの塊が容赦なく襲い来る #8 "On the Way to Ainor"・・・と、マンネリから脱したキャラ立ちの良い曲々が並んでいる様が、前2作とは比較にならない嬉しさを運んでくる。また、Luca Turilli (g) のいつも通りの過剰な“ピロピロ”が、(相変わらずセンス的には極めてアレながら)今回は生々しいプロダクションと共に「ロックな勢い」の一助として立派に機能しているのも、オマケ的なプラス・ポイントとして挙げときたいデス。

まぁそんな風に極力ポジティヴに捉えつつも、やっぱりまだまだ「完全復活」には至らぬレベルというのが正直なところ・・・だけど、かつて一時代を築いたパイオニアたる威厳をいくらか取り戻すには十分な、非常に充実した内容の一枚だとは思う。願わくば再来日を果たして、あの気が狂れんばかりの高揚感に包まれたショウをまた見せて欲しいよねぇ。

満足度 : 86
  • いいね! (1)
  • よくないね! (0)
作品を探す 最新の投稿を見る
アーティスト名で一覧する ABCDEFGHIJKLMNOPQRSTUVWXYZ#0-9日本語
リリース年で一覧する
満足度で一覧する
フリーワードで検索する