Impressions

ICED EARTH / The Glorious Burden (2004)

投稿日: 2004/01/20

米国フロリダの実直ヘヴィ・メタル・キング ICED EARTH の 7th アルバムは、リーダー Jon Schaffer (g) のライフワークである(らしい)米国史探求趣味を反映したアメリカ南北戦争に代表される有史以来の戦乱の歴史を綴ったコンセプト・アルバム。

看板シンガー Matthew Barlow のまさかの脱退というバンド最大の危機を、後任に元 JUDAS PRIESTTim Owens を迎えるというウルトラCで切り抜けた起死回生の一撃は、地味めの欧州寄り硬質アメリカン・メタル・・・という素地はそのままに、その Tim 自身の凄絶な歌唱自体がこれまでにないハイライトを形成するドラマティックな装いが高揚感を運んでくる。

メロディックなんだけど何故かそのメロディそのものが前面に出てきにくかったりするというこれまでどおりのイマイチ即効性に欠ける構造ではあるんだけど、前作までに Matthew の歌唱が生んでいた「ヘヴィ・メタルに対する信念」や「不器用な漢クサさ」というメンタルな一面に加えて、歌唱自体への感嘆というテクニカルな傾聴エレメントが加わった強靭なサウンドは、聴くほどにジワジワとこの身に迫りまくり。

楽曲のヴァラエティも幾分増加しているように感じるけど、その中でもやはり Prague Philharmonic Orchestra と共に南北戦争の哀しき史実をドラマティックに描いた30分を超える渾身の超大作 #9~#11 "Gettysburg (1863)" は、Jon Schaffer ったらこの曲を生むために ICED EARTH を続けていたんじゃないのぉ?…と思えるほどにマジで圧巻の完成度。#13 "When the Eagle Cries -Unplugged-" も、ボーナスながら Tim のメロウな魅力が存分に堪能できる嬉しい逸品だ。

ところどころで聴こえるゲスト・ギタリスト Ralph Santolla の彼らしいテクニカル・プレイが、何故か安っぽい音色はさて置き(汗)これまでにない新鮮なアクセントになってるのも、ギター重視派としては嬉しい限りだし♪

これまで無視に近い形を取ってた日本のメディア&評論家の先生方が「元 JUDAS PRIEST のシンガーが加入した」とたんに、この ICED EARTH をさも重要バンドあるかのようにしたり顔で全開で語りだす憐れな様子には「なんだかなぁ・・・」という違和感を禁じえないけど、まぁこれで来日の可能性がグッと高まるならヨシとしなきゃね。
 (Jan. 12, 2004)

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