Impressions
ARMAGEDDON / Three (2002)
ARCH ENEMY の若き泣きテクギタリスト Christopher Amott のプロジェクト ARMAGEDDON の第3弾。
デビュー盤での激情デス・メタル、2nd での様式派正統メタルに続いての本作は、70's HR への憧憬を露わにした「メタルへの未練たらたらな FIREBIRD」ってな塩梅のダイナミックな骨太メタル。
それにしても、その音楽性の変化とともに今回はなんと Chris がシンガーを兼任するトリオ編成にしてきたのがなんとも挑戦的。
冒頭のフリーフォームなロング・トーンのアドリブ・ターム #1 "Burn The Sun"(オッサン方、ELF ぢゃねーっすよ/笑)のオールド・ロックなテイストからして、コレまでとは全く異質の感触。そして SCORPIONS の中でも Ulrich Roth 風味満点な "Polar Nights" を思わせる #3 "Strangehold"、思わずヘッドバングを誘われるカッコイイ #4 "Heart of Ice" を始めとする、2バスや16分で刻むメタリック・リフが顔を出しつつもダイナミックかつシンプルな佇まいを見せるメタりック・ヘヴィ・ロックは、普段テクニカルな縛りに納得しつつもリラックスしてプレイしたいミュージシャン達が、自身がテクニカル・メタラーである自己主張を適度に垣間見せながら楽チンにグルーヴごっこを楽しめるという、演者本人たちにとってはとっても美味しい路線。
驚いたのは Chris 自身の歌唱で、「こいつギターだけじゃなくてヴォーカルもよく聴いてるな」と思わせる、ソコソコのテクながら上手に聴かせるコツを心得た素直な歌声は、今後の上達への期待を抱かされるに充分なポテンシャルを窺わせる想像以上に旨味のあるものだ。この音楽性には Rickard Bengtsson より文句なくマッチしてるし。退廃グルーヴに揺れる静的ナンバー #5 "Well of Sadness" なんかはかなりいい感じに歌えてるなぁ。
ロックの衝動を表現するにはイマイチ棘のないスマート過ぎる音像、Daniel Erlandsson のメタルとしては最高なんだけどグルーヴという意味では物足りなさを感じるドラミング、そして主役 Christopher Amott のプレイ自体に関しても彼に対して膨らんでいる期待以上の激情ソロが出てこない点(軽ぅ~く水準以上のプレイなんだけどね)などの不満点もあるけど、そこそこ楽しめましたわ。