Impressions
VINTERSORG / Till Fjalls (1999)
投稿日: 1999/01/20
トラディショナル・フォーク=メタル・バンド OTYG のシンガー/ギタリストである Vintersorg のソロ・プロジェクト。
一部の曲のそのまた一部パートに激しくグラインドする疾走ビートや喚くデス・ヴォイスが聴かれるものの、端々にそういった死臭・暗黒臭を漂わせながらも、全体としては至極正統派といえそうな「吟遊詩人メタル」的楽曲は NIGHTWISH や BLIND GUARDIAN の静の部分を連想させる。ヴァイキング調の物哀しくも勇壮な調べをメインで綴るのは、朗々としたテナー・ヴォイスだ。
印象的な哀愁メロディを配したその楽曲は躍動感すら感じさせ、そのキャッチーな魅力は「ポップ」と形容できるほど。アコギやストリングス、ピアノが演出するナイーブさもカナリイイ感じに迫ってくる。特に女声ヴォーカルが加わってくる後半の畳み込み具合は、ナイスフィーリング。
難点は音質がややチープな点と、曲名も歌詞もスウェーデン語なので感情移入がし辛い点。ま、それを補ってあまりある楽曲/メロディの充実が本作の魅力だ。演奏者の素養がメタルのみではなくもっと幅広いものだったら、さらに恐ろしくも素晴らしい作品になっていただろう。(99/01/06)
満足度 : 83%