Impressions

EVENOIRE / Vitriol (2012)

投稿日: 2012/04/25

イタリア産ゴシック・メタル・バンド EVENOIRE の1stフルレンス・アルバム。

モノクロームの中にブルーのアクセントが印象的に映える、往年のプログレ・ジャケの巨匠 Marcus Keef の作品に似たタッチのアートワークを目にした時点でなんとなくビビっと来てたんだけど、実際に聴いてみたら内容的にもその直感がビンゴってな素晴らしさでドニンマリですよ。

一聴して耳を捉えるのは、紅一点のフロント・ウーマン Elisa "Lisy" Stefanoni 嬢(美女)が操るフルートの音色。クラシカルなイタリアン・プログレに通じる味わいを放つその優美な旋律が、ゴシック・メタルがまだ“暗黒メタル”だった時代のミステリアスな暗さを孕んだムーディーな楽曲の中で響き踊る様は、言いようもなく心地好い。それらの「前時代的な」両要素を主幹としつつも、ヘヴィ&アグレッシヴなギター・パートやシンフォ/デジタルな今風アレンジを最低限かつ効果的に配し、決してノスタルジーに陥ることなく2010年代の作品らしいシャープな鼓動を生み出していることにも恐れ入るばかり。レトロとモダンのバランス感覚の取り方が巧いんだよね。

旅の始まりを告げるイントロダクション #1 "Vitriol" に導かれるいきなりのキラー・チューン #2 "Days of the Blackbird"、そして続くまさに70年代イタリアン・プログレのイディオムを投影させたかの #3 "Misleading Paradise" らに代表される、明快な美しさとドゥーミーな暗度が動静巧みにコントロールされた絶妙なダイナミクスを噴出する荒涼たる心象世界を聴き進むひと時は、まさに自らの想像力を試される魔法の旅。Lisy 嬢(美女)、フルートのみならず、柔らかさと力強さの両面を備えた魅惑の歌声もまたタマランのだよなぁ。うーむ、逸材です!

実は今回、本作の日本盤ライナーノーツを書かせて頂いたのですよ。基本的にライナー書いた作品はレビューしないんだけど、コレに関してはマジ気に入ってしまったので(ほ、他のは気に入ってないってわけじゃないんだからねッ!/汗笑)ちょいと書いとこうかな、と。もちろん↑で書いた内容は、提灯的なヨイショ一切抜きッス!(^_^;

満足度 : 90
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