Impressions

RICOCHET / Zarah - A Teartown Story (2005)

投稿日: 2006/03/20

独ハンブルクをベースとするプログレッシヴ・メタル・バンド RICOCHET の 2nd アルバム。

犯罪に巻き込まれてゆく不幸な少女 Zarah の波乱の人生を72分に亘って描いたコンセプト巨編である本作は、前作リリース以来10年を超える長き月日を経ての大きな成長を封じ込めた力作。

陰惨なテーマとは裏腹に楽曲自体は意外にも明快な色彩を帯びており、テクニカルでメタリックな主張とともにシンフォ・ネオ=プログレッシヴの優美な落ち着きを発散するそのスタイルは、ARENAIVANHOE の中間あたりに位置しそうな(…ってどんなんだ/苦笑)、現存バンドで言えば THRESHOLD に最も近い感触かな。

序盤でハードともメロウともつかぬ中途半端な芯の揺れにもどかしさを感じつつも、中盤以降の卓越した円熟技巧を誇る演奏陣によるスリリングな畳み掛けとシンガー Christian Heise の力強い情感歌唱の充実っぷりは見事で、特に泣き大爆発のバラード #7 "Final Curtain" から18分超(途中無音部分アリ)の壮麗なる終曲 #9 "A New Day's Rising" に至る終盤の流れは圧巻の一言。

 (Mar. 08, 2006)

満足度 : 83
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