Impressions
SCAR SYMMETRY / Pitch Black Progress (2006)
スウェーデンのメロディック・エクストリーム・メタル・バンド SCAR SYMMETRY の 2nd アルバム。
デビュー作から約1年と比較的短いスパンでのリリースとなったが、モダンな先鋭アグレッションの中でデス・グロウル/ノーマル・ヴォイスとテクニカル・ギターが秩序良く鬩ぎ合う「進化系 SOILWORK」なサウンドは、この短期間でさらに劇的な進化を遂げた。
なんといっても、Christian Älvestam (vo/UNMOORED, INCAPACITY, TORCHBEARER) の歌唱の冒険が凄い。前作でも大きくフィーチュアされていたスマートなクリーン・ヴォイスを、本作ではその倍量以上に大胆に配置。「熱唱」と呼べるほどに歌い上げちゃうトコでは少々無理を感じる場面もアリ~の(苦笑)、その歌唱が生むメロハー(あえて略称)的ですらあるアンバランスなポップ・フィールは、この SCAR SYMMETRY 独自のモノともいえる新たな魅力だ。
オープニング・チューン #1 "The Illusionist" のいきなりキラーなカッコヨサが以降の前半の印象を薄めてしまっている感はあるが、スケール感に満ちたドラマティック大作 #8 "The Kaleidoscopic God"、ライヴ映え必至のアグレッシヴ・ナンバー #9 "Retaliator"、哀愁メロディック・ハード風味満載の #10 "Oscillation Point"、ボーナス・トラックを超越した出来のキャッチーな #12 "Carved in Stone"・・・と、終盤の充実度は文句ナシ。
もちろん Jonas Kjellgren (g/CENTINEX, ex-CARNAL FORGE), Per Nilsson (g/ALTERED AEON) コンビによる、構築美バリバリの泣きの悶絶テクニカル・プレイも全編で炸裂。いや~、ホンマええバンドや。
(Apr. 20, 2006)