Impressions
フィンランドの酔いどれトロール軍団 FINNTROLL の新作は、相変わらずのハイ・クオリティなディズニー調シンフォニーの裏の拍で、妙に可愛らしいアコーディオンやホンキー・トンク・ピアノが鳴り響く、ノリノリのシンフォニック・プリティー・エモーショナル・フォーキー・ブラックの嵐。
すべてフィンランド語で歌われる、激プラストからミディアム・テンポ、シンフォニーのみのインスト、そしてアコースティックなジプシー・チューン・・・と幅広い楽曲は、ヴァイキングの勇壮さとは似ているものの、それとは一味も二味も違う寓話的民族調メロディがユニークな音色群による煌びやかな装飾とともに乱舞するという超個性的なもので、そのその人懐っこいメロディは、聴けば思わず口ずさまずにはいられない。("TROLL" には「輪唱する」という意味もあるらしい) 樹木の香り漂う素朴なフォークロア風情と、洗練された温度の低いストリングスが上手く同居しているのも◎。
キラー・チューン "Skogens Hamnd" に代表される、独特の哀愁をブチ撒きながら飛び跳ねる音々が体中の皮膚に吸い込まれていく感覚は、いやはやもう病み付きになるね。
デビュー作では、その出来が良かっただけに「9曲約30分」という短さに食い足りなさを感じたが、今回は「13曲45分」と(それでも決して長くはないが)満足。こりゃ CRADLE OF FILTH, BAL-SAGOTH の域に迫るわ。
満足度 : 87%