Picks of the Year - 2005

Albums of the Year

1.
Relic Dances / SILENT STREAM OF GODLESS ELEGY
悲哀に溢れた慈悲深い女声の嘆きと悪魔のヴァイオリンの艶やかな響きが、穏やかな哀愁と激情を交錯させながら醸し出す漆黒の恐怖は、絶望の絵筆となりてこの辺境の呪詛儀式の様子を克明に描く。中欧モラビアの民俗芸能を伝承する極上の暗黒舞踏ミュージック。
2.
Tyranny of Souls / BRUCE DICKINSON
Bruce の狂気を滲ませたさすがの極旨歌唱と Roy Z のパッショネイトな熟達叙情プレイのコラボレートによる伝説再び。サイケデリカが闇の中でヘヴィに蠢く混沌を、珠玉の旋律と英国らしいダークな格調で包み込んだ傑作。
3.
Vinland Saga / LEAVES' EYES
北欧の太陽が薄く輝く青空の下、帆いっぱいに風を孕んで輝ける大海原へ漕ぎ出すノルマン・ヴァイキングの壮大なる歴史物語が、カリスマ歌姫 Liv 嬢の新たなステージの幕開けを告げる。王道耽美女声ゴシック・メタルの新たな金字塔。
4.
Arcane Rain Fell / DRACONIAN
煉獄に響く野獣の咆哮と美しき歌姫の艶やかな歌唱が、果てしなく深い闇に渦巻く救い無き絶望感を詠う壮大なる暗黒絵巻。今宵もまた暗雲に向けて放射される大スケールのドゥーミィーなフューネラル・ウェーヴに溺れ、心地よい窒息感に酔い痴れる。
5.
Troll / LUMSK
呪われた黒き森の奥深くで、精霊と共に執り行われる古の魔族の儀式。毒の沼地に魔族度高く響き渡る邪悪なトロールたちの子守唄の、長閑な隙間感と密度の高いヘヴィな混沌が理不尽に交錯する様には、心地好く圧殺されること必至。
6.
The Black Halo / KAMELOT
前作同様、戯曲 "Faust" ベースのストーリー/世界観の重厚かつ繊細な描写は、叙情ドラマ・マスター KAMELOT の独壇場。濃密な情念の放射口を内側向けた奥ゆかしく神秘的な味わいは、静かな高揚感がこの身に染み渡る様に酔うほどに旨味の増す上質感満点の逸品。
7.
Holy Hell / ROB ROCK
Rob の強靭なハイ・トーン・ヴォーカル、Roy Z & Carl Johan Grimmark の流麗極まりないスピード・ギター・ワーク、Bobby Jarzombek の超絶ドラミング・・・。極上歌唱と抜群の演奏力に支えられたメロディック・ヘヴィ・メタルの理想形がここにある。
8.
At the Dawn of War / SLECHTVALK
吹き鳴るヴァイキング・ホーンを合図に、勇ましく武器を構える六戦士が雷鳴が轟く戦場に向けて嘶く戦馬と共に突撃する、重厚なるバトル・メタル・ワールド。爆発と浮遊が絶妙な押し引きを繰り返しながら壮麗に爆裂する悲愴旋律の超A級な質感は見事の一言。
9.
Hero / DIVINEFIRE
禍々しい暗黒テイストを小さじ一杯加えて壮麗に激走を重ねる絢爛たるドラマは、まさに伝統的北欧メタルの進化形。燃え盛る熱血情感歌唱の傍らで4人のネオクラ魔人がしのぎを削る「ネオ=クラシカル天下一武闘会」な風情に悶死。
10.
Inhuman Rampage / DRAGONFORCE
超人的に猛り狂うそのハイパー・スピードな神速メタルは、全ての要素に於いてさらに研ぎ澄まされ格段の冴えを見せるまさに無敵の様相。刹那なる速度偏重主義に留まらぬ思慮深さを感じ取りつつも、天を仰ぎながらあえて叫ぼう・・・「速さは正義だ!」と。
11.
Ghost Reveries / OPETH
激穏両極端な連作を経ての王者の一撃は、自らの魅力を絶妙のバランスで刻み込んだマイルストーン的超大作。偏執的反復の不条理な快感と北欧暗黒慕情の浮遊が、時空を超えて冥界と現世を行き来する様が呼び込む極上のカタルシスに、震えが止まらない。

Tunes of the Year

1.
House of the Silent / CHARON from "Songs for the Sinners"
前作で見せた大きな飛躍をさらに推し進めたまさに「大化け」な本作のラストを飾る超弩級の名曲。色気漂うディープなカリスマ歌唱からバトンを受け取り、エンディングで延々と泣きのローリングを繰り返す長大なギター・ソロは、まさに名演中の名演だ。
2.
Still Alive / NOCTURNAL RITES from "Grand Illusion"
威厳を増した堂々たる歌唱が眩く燃える熱いメロディが剛健に冴え渡る、気骨溢れるメタル・エッジと逞しい美旋律が鬩ぎ合う奇跡のキラー・チューン。現在の NOCTURNAL RITES のすべての魅力が結実したこの曲は、今後代表曲として永遠に語り継がれるだろう。
3.
Over the Madness / PARADISE LOST from "Paradise Lost"
広義のメランコリック・ロックを模索する旅から見事に帰還を果たした“始祖”PARADISE LOST が、いまここに再び放つゴシック・メタルの真髄。この重厚なゴシカル・バラードに威厳に満ちた耽美な慟哭を付与する Greg Mackintosh (g) のマジ泣きギターは、マヂでテラヤヴァス。
4.
Poems / NIGHTRAGE from "Descent into Chaos"
爆発するブルータリティと、本作から正式メンバとなった Gus G. の気概が伝わる狂おしくエモーショナルな劇メロ・ギターがスマートにパッケージングされた、バンド的には限界なほどにキャッチーな名曲。“スコピー・デス”(スコピー=SCORPIONS)な #5 Frozen も外せない。
5.
End of the Road / SENTENCED from "The Funeral Album"
解散を表明してしまった SENTENCED が、最終作たる葬送アルバムのラストで吐露する「遺言」。漢の哀しみを湛えまくった絶望歌唱と涙を誘うエモーショナル・ギターが感傷的に響きまくる、死にゆく彼らが持てるエッセンスを全て封じ込めた超名曲。さらば SENTENCED。(涙)
6.
Verikansa / CATAMENIA from "Winternight Tragedies"
吹雪の氷原に吹き荒れる極寒の悲愴ブラック・メタルの中で一際輝く、勇壮なサビメロが即死モノにカコヨスなヴァイキング風味満点の好ウォー・チューン。野狼の血脈に溶け込んだ哀切なる旋律美を血に塗れた甲冑が包むかの、禍々しい美しさと硬質な手触りの絶妙なバランスが頼もしい。
7.
Endangered Species / KIKO LOUREIRO from "No Gravity"
かつてのネオクラ四天王時代から約20年弱・・・ブラジルの至宝 ANGRA のスーパー・ギタリストが21世紀の今に放つ、超 Vinnie Moore タイプなネオ=クラシカル・ギター・インストの超佳曲。造詣に満ちまくった特一級品のセンスとテクニックを封入した渾身の一撃。
8.
Spellbreaker / CANDLEMASS from "Candlemass"
初期の黄金メンバーで奇跡の再結成を果たしたスウェディッシュ・ドゥーム・メタル・レジェンドが、呪術的な緩急の妙で聴き手を惑わす最強チューン。刻んだ年輪に相当するかに増加した表現力を駆使した、枯渇や停滞とは無縁の「今を生きるバンド」としての勢いが見目に眩しい。
9.
Nosferatu / BLOODBOUND from "Nosferatu"
ブラックなコープス・メイクと実際の正統メタル・サウンドのギャップが醸し出すニセモノくさい胡散臭さとは裏腹に、それぞれの高品質な楽曲は実に魅力的。中でも超メイデニックなこのタイトル・トラックは、そのヒロイックな勇壮旋律を聴くたびにメタル・パワー漲る握り拳を天に突き上げざるを得ない。
10.
Stranger in You / LULLACRY from "Vol.4"
骨太なパワー・コードをグイグイとドライヴさせるへヴィ・ロケンローは、一聴スリージーなようで実は北欧らしい計算高い整合感がたっぷり。性悪系歌姫 Tanja 嬢のあざとくもキュートな萌え歌唱が股間を刺激する、2005年度最もエア・ドラムを誘われた哀愁ハードの佳曲だ。
11.
Awakened by Sirens / DEADLOCK from "Earth.Revolt"
米産メタル・コアとは根源的に思想が異なる、ドラマ形成の妙と柔らかな旋律美がもたらすメランコリックな欧州テイストが映える進化形へヴィ・メタルは、恐ろしいほどに魅力的。強力な女声歌唱がドラマティックにドライヴするこの曲に、ジャーマン・メタルの新しい未来が見えた。

Players of the Year

Male Singer: John K (BIOMECHANICAL)
伝統的メタルへの敬意を露わにしつつ全体を狂気のアグレッションで覆い尽くした極端かつ整然とした驚異の変態的テクニカル&シアトリカル・サウンドに乗る、ハイ・トーンとデス・ヴォイスを交錯させたハイ・テンションなブチ切れ歌唱はインパクト絶大。
Female Singer: Özge Özkan (CATAFALQUE)
ヴァイオリンとピアノが織り成す優美な耽美色とヘヴィ・メタリックなギター・ワークが溶け合う、中欧トルコから飛び出た一級品の王道フィメール・ゴシック・メタルは、印象的なメロディを綴り続ける Özge タンのエンジェリック萌えヴォイスにメロメロなのです。
Guitar Players: Jeff Loomis & Steve Smyth (NEVERMORE)
高揚する疾走感とメロウな悲愴感を絶妙に配しながら、低い高度で刺々しく蠢かせる端正なケイオスが容赦なく畳み掛ける怒涛の激烈アグレッションの中で、全宇宙最強のギター・タッグがそこかしこで弾けまくるメランコリックな超テクニカル・ギター・プレイは、ヤヴァいくらい最高。
Bass Guitar Player: Birgit Ollbrunner (MIDNATTSOL)
ハイヒールで顔面を思いっきり踏んでホスイ。(ドM)
Drum Player: Henrik Ohlsson (SCAR SYMMETRY)
超テクニカル・ギターが華麗に乱舞する、フューチャリスティックなアグレッションが鋭く輝くスマートなメロディック・エクストリームを、ガッツリと支える超強力なドラミング・・・その常人離れしたバスドラ捌きには、惚れ惚れすることしきり。
Keyboard Player: Finn Zierler (BEYOND TWILIGHT)
中世と近未来が交錯する濃密なプログレッシヴ・ワールドの中、技巧派メンバー陣が緻密に構築しながらも本能で揺らすダーク・ヴァイヴを、シアトリカルにアクトしながら見事な統制でコントロールするその非凡な才能は、メッチャ素晴らしい。

Cover Art of the Year

(N)utopia / GRAVEWORM Artwork by Thomas Ewerhard
やっぱ彫像系(しかも羽根付き)にはチョー弱いッスな。。


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