Impressions
BRUCE DICKINSON / Tyranny of Souls (2005)
我が師 Bruce Dickinson (vo/IRON MAIDEN) の、前作からは7年振りとなる 6th ソロ・アルバム。
本作は1999年の IRON MAIDEN 復帰劇以来初めてリリースされるソロ作品となるんだけど、聴けば聴くほどにこの充実したソロ・ワークこそが本職であり、向こうはパイロット業以下(笑)の単なる余興でしかない・・・と再認識させられるばかりの素晴らしさッスわ。
心地好くダークな破壊力と力強くもキャッチーな叙情メロディが近世寓話世界の深遠なる魔力で溶け合ったその作風は、ミステリアス&ヘヴィな暗黒美に覆われた神盤である "Chemical Wedding" と快活な MAIDEN 風メロディック・メタルの好盤だった "Accident of Birth" のちょうど中間あたりに位置すると思えるもの。
バランス/ヴァラエティに長けた粒の揃った楽曲は、不穏なヘヴィ・イントロ #1 "Mars Within" に続いてヘヴィネスとメロディが理想的な融合を見せながらドライヴィングするオープニング・チューン #2 "Abduction"、ヘドバン必至の強靭なリフ攻撃から哀愁コーラスへと雪崩れ込むドラマに悶絶な #3 "Soul Intruders"、勇壮な中に哀しき叙情が浮遊する #4 "Kill Devil Hill"、TRIBE OF GYPSIES を想起させるセミ・アコースティックな穏やかさに和む #5 "Navigate the Seas of the Sun"、英国らしいダークな格調を備えたダイナミック・チューン #6 "River of No Return"、重量感溢れる愁いに満ちた疾走メロディック・メタル #7 "Power of the Sun"、サバシーな地下グルーヴと郷愁コーラスの対比にグッとくる #8 "Devil on a Hog"、サイケデリコが闇の中でヘヴィに蠢く様がまさに Evil な #9 "Believil"、そしてダークな混沌を珠玉の旋律で包み込んだ終曲 #10 "A Tyranny of Souls"・・・と、まさに「捨て曲ナシ」という言葉に偽りなき圧巻のラインナップだ。
うわずるほどの情熱はもちろん、狂気を滲ませた穏やかさの魅力も光る Bruce のさすがの極旨歌唱こそが主役として看板を張っているのはもちろんだが、プロデュース、作曲、そしてギター・パートという本作の根幹をなす部分を形成する「もう一人の主役」、Roy Z の魅力もまたたっぷりと味わえるのも嬉しいポイント。
エモーショナルな叙情フレーズを交えた凄絶なる鬼弾きソロ・パートをはじめ、全編に大胆にフィーチュアされた熟達ギター・プレイの奥深い味わいは悶絶モノで、所々でやや感じられる歌メロのパターン化をヘルプするように見事に新鮮なフックを与えているそのパッショネイトな存在感の強さは、まるで本作がスター・シンガー Bruce Dickinson を迎えた Roy Z 自らのソロ・アルバムであるかのようだ。(笑)
っとに、早いとこまた IRON MAIDEN 辞(以下略)
(Jun. 08, 2005)