Picks of the Year - 2008

Albums of the Year

1.
Sevdah Metal / EMIR HOT Favorite Track : #2 "Devils in Disguise"
クラシカルな欧風メタルと中央・東バルカン地方のトラッド・ミュージックのエスニックな色彩が大胆に融合。高い技巧が生む上質のスリルとそれを覆う辺境トーンの豊かな郷愁の絶妙なバランスは、極限の悶絶感を運んでくる。
2.
Twilight of the Thunder God / AMON AMARTH Favorite Track : #1 "Twilight of the Thunder God"
従前の男気と悲愴なる叙情味が硬派な形で結実した、勇壮なる鋼鉄叙事詩。まさに雷神 Thor と大蛇 Jormungandr との死闘の様子が眼前に迫る、ヴァイキング・メタル史に刻まれるべき名盤だ。
3.
Monument / COR SCORPII Favorite Track : #4 "Our Fate, Our Curse"
WINDIR の意思を継ぐ刹那なる慟哭ケイオスが発するのは、涙を決意に変えて死地に向かう漢の哀しくも勇ましい情景が浮かぶ悲壮なる激情。その狂おしくも寒々しい哀感の前に、ただただ痙攣しながら身悶えする他はない。
4.
Frankness Eve / MOURNFUL GUST Favorite Track : #3 "To Your Deceits... Again"
フューネラルなドゥーム色、フォーキーな叙情味、そしてプログレッシヴなメランコリアが形成する漆黒のトライアングルは、強靭なヘヴィネスとともに哀しき暗黒美の輝きを鬱なる深遠から発し続ける。
5.
Kolossus / KEEP OF KALESSIN Favorite Track : #9 "Ascendant"
激烈ブラストが渦巻く邪まな暴虐さと幽玄なるアースシーに吹き荒む悲愴なるメロディの配合は、本作で奇跡的な黄金率へと昇華した。イケメン叙情ブラック・メタルの凄絶なる傑作、登場。
6.
Slania / ELUVEITIE Favorite Track : #3 "Inis Mona"
本格的なケルティック風味と切れ味と重量感を増量したエクストリームなアグレッシヴ・メタルを圧倒的な品質で封じ込めることに成功した、ニュー・ウェーヴ・オブ・フォーク・メタルの旗手たる力作。
7.
Are You Ready to Rock / ECLIPSE Favorite Track : #3 "To Mend a Broken Heart"
'80sメインストリーム・ハードの快活さに乗る珠玉の極上メロディから漂うスカンジナヴィアの香りは、“ネオ北欧メタル”と称したくなる程に絶品の味わい。奇跡的なまでの楽曲の充実度にガッツポーズしながら失禁。
8.
Heading Northe / STORMWARRIOR Favorite Track : #8 "Remember the Oathe"
旧来のピュア・メタル魂を愚直に突き詰めると共に、北欧神話由来のエピックなテイストを大増量。北方の祖国を目指して大洋を進むヴァイキング船団を描いた至高のアート・ワークに恥じぬ、紛う事なき最高傑作だ。
9.
The Tall Ships / IT BITES Favorite Track : #2 "Ghosts"
繊細なプログレッシヴ・マインドをハートウォーミングなポップ・センスで包含したダイナミックなスタイルは、この奇跡の復活作でも嬉しいほどに健在。その淡い郷愁の色合いに、身体の奥底から何かが込み上がってくる。
10.
All in Between / MOON MADNESS Favorite Track : #9 "Thunder"
クリアな北欧メランコリアと'70s王道オルガン・ハード風味とが、“女神の二の腕”を持つ美女シンガー Heidi 嬢のキャッチーな歌唱を触媒に見事に融合。芬蘭産ながら多分に瑞典的な様式派の味わいが美味な逸品。
11.
Under a Dark Sky / ULI JON ROTH Favorite Track : #3 "Land of Dawn"
ようやく届いた The Legend of Avalon 第一部は、オペラティックな壮麗さとクラシック・ロックのヴァイヴを共に詰め込んだ豊潤なアート感に心地好く幻惑される。Uli 師匠の唯我独尊な悶絶エモーションに成す術もなく昇天。

Tunes of the Year

1.
Burden / OPETH from "Watershed"
彼らの甘美なメロウ・サイドを総括する名曲中の名曲。Mikael のクリーン・ヴォイスが中年の色気全開で迫る HEEP 風味の中、2本のギターが嗚咽を漏らし泣き合ううちに、その旋律は美麗なハーモニーへと溶けてゆく・・・完璧だ。
2.
Another Day from Heaven / HOUSE OF LORDS from "Come to My Kingdom"
James Chiristian のハスキーなエモーショナル・ヴォイスとJimi Bellの泣きの情熱的ギター・ワークの二本柱が色あせぬ魅力を発揮しまくりの、切ない哀愁メロディの波状攻撃に息も絶え絶えな必殺バラード。
3.
Captain Morgan's Revenge / ALESTORM from "Captain Morgan's Revenge"
聴く度に「出航だァーーーーーッ! 帆を上げろーーーーーーーーッ!!」とつい全力で叫んでしまう名海賊メタル・チューン。享楽的なノリの端々にしっかりと滲むシリアスなスコティッシュ/ブリティッシュな香りも頼もしい。
4.
Sign of Our Times / ARI KOIVUNEN from "Becoming"
タイトなケミストリーを得た強靭なバンド・サウンドを味方に、Ariの青臭い透明感が往年の北欧メタル風味をドライヴさせる素晴らしい哀愁ハード。ネオ=クラシカル素地のギター・ソロにも身悶え。
5.
My Loneliness / FIREWIND from "The Premonition"
普遍的なメロディック・メタルの魅力を武器に躍進を続ける彼らが生み出した、メロウな手触りのヘヴィ・チューン。Apollo さんのエモーショナルな熱唱と Gus G. のパッション溢れるギターが相互に反応しあう様にグッと来る。
6.
River of Tuoni / AMBERIAN DAWN from "River of Tuoni"
フィンランドの神秘の森の奥で起こった、ネオ=クラシカル・メタルとゴシック・メタルの蜜月。キラキラと輝くクリスタルの疾走の上でソプラノの愁いが優美に舞う哀愁の北欧叙情の美しさに、言葉を失う。
7.
The Departure / ABIGAIL WILLIAMS from "In the Shadow of a Thousand Suns"
米産という事実が信じ難い程に見事なDIMMU BORGIR型北欧シンフォ・ブラック。本家を凌ぐとさえ思える新人離れした緩急の妙と欧州的な悲愴感が究極の慟哭発する名曲。
8.
After All These Years / JOURNEY from "Revelation"
Open Arms, Faithfully らに勝るとも劣らぬ殺傷力を誇る、それらの超名曲と共に輝ける JOURNEY 史上に刻まれるべき屈指の名バラード。Steve Perry 以上に Steve Perry な Arnel の歌唱は驚異的。
9.
Koning Radboud / HEIDEVOLK from "Walhalla Wacht"
普段は農作業を営む青年たちが、村と家族、そして自らの誇りのために敵に立ち向かう様を想い起こさせる勇壮なる闘いの挽歌。(しかも敵を楽勝で殲滅するほど強い) 暑苦しくも牧歌的な「男男ツイン・ヴォーカル」が最強。
10.
Brake Away / STURM UND DRANG from "Rock'n Roll Children"
本物のヘヴィ・メタル・マインドを持ったフィンランドの早熟な少年メタラーズにHail。若さに似合わぬ往年の北欧メタルの香りをキャッチーにドライヴさせるこの曲の、シンプルだからこその勢いが生む名曲オーラにたじろぐ。
11.
Missa Miehet Ratsastaa / TERÄSBETONI from "Myrskyntuoja"
暑苦しい剛健ハイ・トーンが男気満点のガッツを注入する正統派ヘヴィ・メタルは、大衆的惹きの良さを呼び込むメジャー感を大量増。この曲の思わず口ずさんでしまう激キャッチーな漢らしさはクセになるほど異常!

Players of the Year

Male Singer: Jan Thore Grefstad (SAINT DEAMON)
叙情味とパワーのバランスを取りながら実直にメロディアスな高揚感を目指す正統派メタルの中で、刺激的な高音シャウトを交えながら独特の旋律美を力強く牽引する堂々たる歌唱の頼もしさには目を瞠る。
Female Singer: Laurie Ann Haus (TODESBONDEN)
クラシカル&ドリーミングなフォーク色と老獪なメタル・パートが絡む魅惑の異世界にエンジェリックに舞い降りるソプラノ歌唱。そのプロフェッショナルなクリアネスが澄み渡る静謐なるアトモスフィアの心地良さは、絶品の一言だ。
Guitar Player #1: Jeff Loomis (JEFF LOOMIS)
現人類最強クラスの超絶テクニシャンが、待望のソロ作でついにその全貌を露わに。脅威の技量を持ってネオ=クラシカルな側面を極めた #9 Miles of Machines の前には、悶えて絶命する道しか残されていない。
Guitar Player #2: Jimmy Hedlund (FALCONER)
より直接的になったフォーキーな風合いとスピード感を支える、手練の隠れネオクラ職人ここにあり。叙情的かつファストなフレージングのみならず、エモーショナルなタッチが伝える数少ない“本物”の息吹に悶える。
Bass Guitar Player: Andreas Blomqvist (SEVENTH WONDER)
シネマティックに展開する衝撃的なストーリーを比類なきクオリティでプログレッシヴかつキャッチーに描写するバンドを、熟達の超絶技巧と類稀なる極上センスでスリリングにリードする影の司令塔。
Drum Player: Asgeir Mickelson (IHSAHN)
ブラック・メタル・カリズマ Ihsahn 先生のダーク&プログレッシヴなアートセンスを、その傑出した手腕で見事に支える SPIRAL ARCHITECT の達人。圧倒的な手数と極上グルーヴの相乗効果が凄過ぎる。。
Keyboard Player: Ashley Ellyllon Jurgemeyer タン (ABIGAIL WILLIAMS)
壮麗シンフォ攻撃と只者でなさをプンプンと漂わす耽美なる名人級ピアノ・ワークで、本場のバンド群を凌ぐ欧州的悲愴感を見事に演出する可憐なる鍵盤奏者。あぁ、黒鍵を叩くその指で俺の(以下略)

Cover Art of the Year

Night Eternal / MOONSPELL Artwork by Seth Siro Anton
永遠の夜の女王。その冷酷な視線に魅入られたら最後・・・。しかし、その左手の誘いからは、何人たりとも逃れることはできないのだ。


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