Impressions
COR SCORPII / Monument (2008)
中心人物 Terje "Valfar" Bakken (vo, g, b, syn)/ の不慮の死によって惜しまれながらも消滅したノルウェー産フォークロリック・ブラック・メタル・バンド WINDIR に在籍していたキーボード、ギター、ドラムの3名を擁する COR SCORPII の1stアルバム。
・・・凄い。ドラマーこそ既に交代してしまっているが、フォーク色漂う慟哭旋律とプリミティヴな暗黒ケイオスを渦巻かせながら疾走するその刹那なる音像は、まさにかの WINDIR の意思をガッツリと継承する素晴らしい路線。
ブラック・メタル本来の漆黒の不穏さを損なうことなく、バロック期の影響を濃く匂わすクラシカルなギター・アンサンブルとここぞの場面で程よいバランスで前面に出てくるピアノ/キーボード&オーケストラル・アレンジで劇的に彩られた楽曲群が容赦なく噴射するのは、友の死に流した涙を決意に変えて自らも死地に向かう漢の哀しくも勇ましい姿が目に浮かぶような悲壮なる激情。その狂おしいまでの寒々しい哀感の前には、ただただ痙攣しながら身悶えする他はない。
序盤にもかかわらず涙が枯れ果てる程に泣ける #2 "Endesong"、パワフルな疾走の中で終始乱舞し続ける慟哭メロディがタマラン #4 "Our Fate, Our Curse"、10分半に及ぶ超ドラマティック大作 #6 "Oske og Innsikt"、そしてゲスト・シンガー Mats Lerberg (SILENT VANQUISH, ex-GLITTERTIND, etc) のクリーン・ヴォイスによる Viking/Pagan な詠唱に悶える終曲 #8 "Bragder I Stein"・・・という特に偶数位置に配置された各曲がマヂネ申。
(Dec, 20, 2008)