Impressions
米フロリダ産メロディック・メタル・バンド KAMELOT 待望の 7th アルバム。
前作 "Epica" で歌われた戯曲 "Faust" ベースのストーリー/世界観を引き継ぐ続編となる本作は、その "Epica" を含む前3作で聴けた明快に飛翔するスピード感はやや抑えめに、プログレッシヴな密度を高めて重厚かつ繊細にドラマを描写する手法を選択した成熟の一枚。
正直、最初通して一周聴いた時は、このややマターリ気味に進行する長丁場に冗長さを感じてしまったりもしたけれど・・・ナニガナニガ! #2 "When the Lights are Down", #4 "Soul Society" らのキャッチーな勢いのスピード・チューンズはもちろん、#8 "Moonlight" に代表される繊細なシンフォニック・アレンジにしっとりと包まれたミドル・テンポの佳曲群と微サイバーな近未来感が心地よい S.E. とが絡み合いながら本作のハイライトである大作 #12 "Memento Mori"(タイトルからして激ヤヴァ!)に向かってクライマックスを形成していく様たるや、まさに叙情ドラマ・マスター KAMELOT ならではの独壇場じゃん。
直近の作品で外側に向けていた濃密な情念の放射口を今度は内側に180度方向転換させたかの、即効性の高い悶絶の爆発に重きを置いた "Epica" と対を成すに相応しい奥ゆかしく神秘的な味わいは、酔い痴れるほどに旨味の増す上質感満点の代物。ジックリと歌詞を読みながら物語への没頭を繰り返すに連れて、静かな高揚感がこの身にどんどん染み渡って行く気持ちよさったら至福の一言ッス。
そして何が嬉しいかって、Khan(って、表記上はファミリー・ネームだけになったん?)唯我独尊の「夜露にそぼ濡れ歌唱」から滴り落ちる変な汁の量が、これまでになく多めなんだよね~。超多い日も安心タイプって感じ。(笑) 必殺バラード #6 "Abandoned" をはじめ全編で漏れ出す過剰なまでに情感を込め過ぎた吐息がイヤホンを通じて耳の内側に吹きかかる度に、頬を赤らめながら膝から崩れ落ちてしまいマス。。。(恥)
まぁ、なんとなく聴き覚えのある節回しやリズムが頻発したり、Thomas Youngblood 先生 (g) の几帳面で真摯な硬質ギター・プレイに相変わらず堅実過ぎるキライがあったり、Glenn Barry (b) & Casay Grillo (dr) のリズム隊がやや大人しめに思えたり、Jens Johansson (key/STRATOVARIUS), Simone Simons タン (vo/EPICA), Shagrath 様 (vo/DIMMU BORGIR), Mari 嬢 という美味しいゲスト陣がの登場頻度がイマイチ物足りなかったり・・・という気になる点もいくつか存在するけど・・・んなことはチョー些細過ぎて書くまでもないってことで。(と言いつつ書いてるけど ^_^;)
(Feb. 18, 2005)