Impressions
Massacre Records 生え抜きのフィンランド産メロディック“狼”ブラック・メタル・バンド CATAMENIA の 6th アルバム。
2nd "Eternal Winter's Prophecy" をピークに、その後は高いレベルで一定のクオリティを維持しつつも内容的には「いかにも小粒な中堅」的なやや停滞気味の印象だった CATAMENIA だけに、ニュー・シンガー O.J.'Topi' Mustonen を迎えた転機の一枚となる本作でのいきなりの息の吹き返し方は驚きの一言だ。
オープニングチューン #1 "The Heart of Darkness" のイントロで、シンフォ・アタックの隙間から圧力を増したトレモロ・リフとブラストが渦巻き出した瞬間、「何かが変わった!?」と思ったね。以前の旋律美を包んでいた煌びやかに輝くベールが返り血に塗れた甲冑へと変化を遂げたかの禍々しい美しさと硬質な手触りの絶妙なバランスは、DIMMU BORGIR と NAGLFAR の理想的な融合とも思えるものかも。
アグレッションに満ちた骨格が剥き出しになったことにより、その中に流れる野狼の血脈に溶け込んだ哀切なメロディ自身が抒情な皮膚を形成せんと活性化したそのパワーが、吹雪の氷原に吹き荒れる極寒の悲愴ブラックに新たな勢いをもたらしているのが頼もしいわ。
ニュー・シンガー O.J.'Topi' Mustonen は前任者と違和感の少ないやや控えめな絶叫の持ち主ながら、細かな部分でより表現力に長けた巧者な印象で、勇猛さを失わないクリーン・ボイスの適所への配置も非常に効果的。特にヴァイキング風味満点のウォー・チューン #2 "Verikansa" の勇壮なサビメロなどは即死モノのカッコよさだもんな。SATYRICON のカヴァー #10 "Fuel For Hatred" も、ある意味ダンサブル(笑)でイイ感じ。
うむ、この良質の変化をこのままさらに磨き上げて、次作あたりで一線級に躍り出るべく特大級の爆発をイッパツカマして欲しいトコロだな。
(Jun. 01, 2005)