Impressions
♂♀ツイン・ヴォーカルを擁するスウェーデンの7人組ゴシック・メタラー DRACONIAN の 2nd アルバム。
精悍なる野獣 Anders Jacobsson (♂vo) の煉獄にまで響かんとするディープな死の咆哮と、美しき歌姫 Lisa Johansson 嬢 (♀vo) の艶やかに輝くクリアな萌え歌唱が美醜のコントラストを鮮やかに描くヘヴィでスローなダーク耽美ゴシックは、前作同様に Travis Smith の手によるナイスな陰鬱絶望アートワークをそのまま具体化したかのメランコリックな重苦しさで全編を包んだ壮大なる暗黒絵巻。
壮麗なシンフォニック・アトモスフェアを身にまとった荘厳な重量感に包まれたザクザク・リフの圧力が、その上に乗る思わず泣きを誘う凄絶なる哀愁フレーズを垂れ込める暗雲に向けてゆっくりと放射する大スケールのドゥーミィーな楽曲群は、前作で垣間見られた正統メタル的な躍動感をやや希薄にする代わりにフューネラル度をグッと高め、漆黒の闇に渦巻く救い無き絶望感を倍化させた、バンドとしてより焦点を絞れてきたかの勢いと自信に満ちた出で立ち。
沈み込むような陰鬱で暗いサウンドでありながら、中心人物 Johan Ericson (g) による耳を惹くギター・フレーズをキーとした叙情メロディの妙と、"Icon" ~ "Draconian Times" 期の PARADISE LOST に通じる緩急の工夫、そしてこの手のバンドにしては異例なほどに煌びやかなプロダクションもあって、非常に聴き易い音像に仕上がっているというその絶妙なバランスの良さも素晴らしいの一言だ。
9分超のオープニング・チューン #1 "A Scenery of Loss" から一気にその暗黒世界に引き摺り込まれたら最後、その後は押し寄せる重く美しい大曲群の波に溺れる心地よい窒息感に酔うばかりですわ。そして・・・ラストに待ち受けた激泣きを禁じえない極限の哀しみに溢れた15分を超える長大な暗黒慕情 #8 "Death, Come Near Me" で、完ッ全ッに溺死!!
ううむ、やっぱメッチャいいバンドだなぁ、DRACONIAN。THE SINS OF THY BELOVED 亡き後(って解散したっけ?)、この路線の主としてよろしく頼んます。
(Feb. 01, 2005)