Impressions
自他共に認める M 男君なオレとしては性悪っぽい少々キツめの目付きがマジでタマんない悪女系シンガー Paulina Maslanka 御姉タマ と、一見純情ロリ系な印象のキーボーディスト Barbara Lasek 嬢 というタイプの異なる2人美女を贅沢にも擁した、ポーランドのゴシック・メタル・バンドの 3rd アルバム。
実は2001年の作品だった前作 "The Fading Tale" が日本では 2002 年の暮れ近くにリリースとなったため、アッという間の新作!?・・・という印象だが、実質的には約一年のスパンでの新作リリースってことらしい。
ツーバス連打で疾走する純度の高いメタル・チューン #6 "I Promise" に代表される、分厚いリフ攻撃とラウドに鳴るメタル・ドラミングがアピールするしっかりとヘヴィ・メタルな基本軸こそ前作ゆずりだが、ヘヴィはヘヴィでもややモダンなテイストに変化したリフのヘヴィさとメランコリックなメロディの浮遊感をそれぞれ強めた作風からは、デビュー作の王道ゴシックな路線に立ち戻ったかの印象だ。
・・・にもかかわらず、それが「後退」ではなく「成長」と感じられるのは、ときに儚く漂いときに力強く響く Paulina タン の魅力的な歌声で歌われるメロディ自身の輝きが強力に増しているせいかなぁ。メタル素地な下周りに、バランス良く導入されたデジ風味と控えめながら適度に広がるアトモスフェリックな柔和さが乗っかった、4分~5分台が中心の聴きやすいまとまりを見せる楽曲の中心で魅力を振り撒く彼女の歌声に、この耳は釘付けなんだよね。
今のところ前作での "Carving the Way", "Careless Whisper"(WHAM! のカヴァー)のような明らかに傑出した楽曲が見つかっていないのが少々物足りないのが正直なところではあるものの、メランコリーに満ちたコーラスでつかみは OK のオープニング・チューン #1 "The Hand"、淡い叙情がゆったりと流れる #5 "Whale's Lungs"、ピアノをバックに美旋律が切なく響く #7 "The Sun"、アルバム中唯一のポーランド語での歌唱が醸し出す東欧な雰囲気がナイスな #9 "Wieczny Final" とメロウ・サイドの充実が十分に嬉しい、バンドをしっかりと包み込む上昇気流のエネルギーの伝導が心地良い好盤。 (Jan. 19, 2003)