Impressions
スウェーデンから登場した絶望ゴシック・メタルの新星 SLUMBER のデビュー・アルバム。
弾力に満ちた豊潤なギター・プレイと哀切に打鍵されるピアノの響きが織り成すドゥーミィなダーク・グルーヴが OPETH, ANATHEMA のそれに通じる出口の無い絶望の闇を描くも、その周りを縁取るしっかりとツイン・バスを活用するフィンランド的哀愁ノリノリ・ドライヴ、そして TRISTANIA ~ SIRENIA の名をも想起させる女声/クワイアの荘厳極まりない反復までもを用いて壮麗に表現する、これまでありそうでなかった「躍動する絶望感」が実に新鮮。
ワビサビを備えた大人のプレイから「本物」の香りがプンプンと漂うのも魅力で、地に足の着いたディープなグロウルが吐き出す悲壮感も素晴らしいの一言。5分台中心にバランスよくまとまった楽曲は、同じ絶望メタルである VIRGIN BLACK, SHAPES OF DESPAIR などを聴いて感じてた「聴き続けるうち正直チョイとしんどくなる部分」を瑞々しい耽美旋律をキーにして見事に克服したごとくの達成感に包まれているかのようだ。
そんな「体育座り系絶望ゴシック・メタル」の新たなスタンダードの誕生を想わせる本作にもっともっと耽溺したいのに、ランニング・タイムがたった全7曲37分51秒とは・・・あまりに酷過ぎるッス!
(Dec. 26, 2004)
満足度 : 88%