Impressions
ノルウェイジャン・メロディック・ハード・ロック・バンド TNT の 8th アルバム。
再結成後の二枚のアルバムは、出来としては充分に上質と言える部類に入る作品ではあったものの、かつての透明感溢れる「クラシカル」とも言える北欧テイストに魅せられていた身としては非常に厳しい内容だった・・・が、本作はその2作とは明らかに異なる、「全盛期のスタイルに接近しようとする意欲」が感じられる一枚だ。
とは言っても、全曲で満足を得られるというわけではなく、エンディング・ソロでのフェード・アウトに激しく欲求不満を覚えつつもそのポップな躍動感が確実に往年のテイストを感じさせる #1 "Lonely Nights"、甘酸っぱいメロディに耳を奪われそうになる #3 "You'll be There"、哀感が美しく浮遊するバラード #9 "Perfectly"、Tony Harnell が奥方 Amy Anderson と共に亡くなった彼女の母親に捧げた #13 "Song 4 Dianne" らの一部の楽曲の充実が全体の印象を持ち上げてる感じではあるんだけど。
それでも、Tony Harnell の唯一無二のハイ・トーン・ヴォイスは楽曲のスタイルを超えてやっぱ魅力的に響き渡るし、ギター・ウィザード Ronni Le Tekro のその年輪が更なる強靭なエモーションもたらしたマシンガン・ピッキングと独特の豊かさを持ったハーモニー・センスも、「やっぱ TNT はこうだよな~」ってな説得力がアリアリ。
ま、現時点での彼等が、実年齢ならではの経験とソレが生んだプライドと嗜好を持って、「TNT として求められてるスタイル」を再現しようとした結果としては、充分に許容できる範囲の悪くない仕上がりだと思いマス。
正直、完全復活とは程遠いし今後も初期の輝きを取り戻すのは690%有り得ないと思うけど、この調子で活動を続けてアルバム何枚かに1~2曲でも魅力的な曲を収録してくれれば、オレ的には御の字デスわ。
ってゆーか、Diesel Dahl (dr) は超 Van Zan@Reign of Fire(邦題:サラマンダー)タイプ。(笑)
(Feb. 22, 2004)