Impressions
おフランス産オーケストラル・ゴシック・メタル・バンド PENUMBRA の 3rd アルバム。
男女ツイン・ヴォーカルを擁する7人組に準メンバーとして男女混成合唱隊とバグパイプ/フルート奏者が加わった大所帯から放たれるシアトリカル・メタルは終始独創的なアイデアを溢れさせていて、その一筋縄ではいかないサウンドが誘う妙なトリップ感は実に気持ちイイ。
反復するメタリック・リフのドゥーミーなドライヴ感を、先鋭ゴシック的なテクノ・ループを隠し味にしたゴージャスなシンフォニーで包み込んだ地盤に、オーボエも吹いちゃう男性シンガー Jarlaath による朗々たる普通声&デス・グロウルと出戻り(?)女性シンガー Anita Covelli 嬢の可憐でフェミニンなクリア・ヴォイス、そして宗教美術的に響く荘厳なクワイアがドラマティックに絡み合うサウンドに漂う、おフランスならではの(絶対に先入観/笑)モダンなアート感覚がこの耳に新鮮に響く。
メタル・リフとクワイアの雰囲気から THERION の名が思い浮かぶが、細部に亘って丁寧に組み上げられたオーケストレーションの一風変わったプログレッシヴな感触はこの PENUMBRA 独特のもので、その絶妙な構築センスはゴシック・メタルとしては最高峰に位置すると思える素晴らしさ。各曲が大仰な劇的さを見せながら意外とコンパクトにまとまっているのも、聴き易くて◎なんだよだな。
それにしても、全編で印象的な萌えヴォイスを聴かせる Anita タン、っとにもうメッチャクチャ上手いデスわ。(驚)エンジェリックなソプラノからエモーショナルな情念歌唱まで、ここまで隙なく見事にコントロールできる人ってそうそういないんじゃないかな? (Nov. 20, 2003)
満足度 : 87%