Impressions
デンマークの SF 文芸メタラー MANTICORA の 4th アルバム。
日本デビューとなった前作 "Hyperion" での飛躍的な進化には全くもって驚かされたが、人間の八つの大罪をテーマに据えたこの新作のコンセプチュアルな音像が感じさせる更なる旨味と完成度の前には、思わず「ば、化けたァ!?」という言葉が口を突いてしまうわ。
熱唱シンガー Lars F. Larsen の超 Hansi Kursch クローンな歌唱とそれが乗る思考派ドラマの勇猛な疾走には、相変わらず地盤に BLIND GUARDIAN が存在する事実を即座に認識させられるものの、ここに来て恐ろしく高まってきたバンドとしての基本的な地力が生む「凄み」がこの耳に突き刺さってくる。
さらに嬉しいのが、前作で我が耳を惹いた Martin Arendal (g/現 WUTHERING HEIGHTS なので本作ではゲスト扱い) の紛れも無くデンマークNo.1な凄絶ネオ=クラシカル・プレイが、このスピーディーなパワー感の中にさりげなく変拍子を絡めたりするプログレッシヴな味わいがバンドの知的なイメージを巧く増長させるドラマティックな重厚メタルの中で、楽曲を彩る重要なキーとして前作以上に魅力的に機能している点だ。楽曲に対するギター・ワークのアプローチの方法が、なーんとなく初期 ELEGY に通じる悶絶なる方法論を感じさせるんだよね。(嬉)
従来どおり単一の楽曲云々というよりはアルバム全体のムード優先・・・という流れにあるのも事実なんだけど、濃密な圧力の高さと印象的な美麗フレーズの数々に酔わされる満足感は相当に高いデス。
あ、以前から感じていた BLIND GUARDIAN からさらに遡ったルーツである「SATAN らしさ」が本作ではやや希薄に思えたんだけど、それはこの夏に実際に SATAN のライヴ観て本物の SATAN を知っちゃったからかな?(さりげなく自慢/笑)
(Nov. 13, 2004)