Impressions

INSOMNIUM / Anno 1696 (2023)

投稿日: 2023/04/20

フィンランド産メロディック・デス・メタル・バンドINSOMNIUMの前作から約3年半振りとなる9thアルバムは、魔女狩りや大飢饉、疫病など北欧が悪夢に覆い尽くされた暗黒時代をテーマにNiilo Sevänen (b,vo)が書き下ろした短編小説に基づいたストーリー・アルバム。
本作でも、絶望に満ちた闇を抒情の光で照らすメランコリックな重厚世界を、考え得る最上級の奥深いプロダクションで見事に描写。慟哭アグレッション全開で迫り来る#1 "1696"、ROTTING CHRISTのシンガーSakis Tolisの独特の歌唱をフィーチュアした#2 "White Christ"、女性シンガーJohanna Kurkelaの美声が悲哀をリードしてゆく#3 "Godforsaken"をはじめ聴き応えのある良曲揃いとなった本編に加え、「物語を補間する」という名目で同梱された3曲入りEP『Songs of the Dusk』にもINSOMNIUMの真骨頂といえる楽曲群を収録。特に9分を超える劇的な終曲となったCD2:#3 "Song of the Dusk"は、この曲が無くては本編も締まらないだろうと確信させる重要な一曲となっている。
すっかりメイン・ソングライターとなったMarkus Vanhala (g/OMNIUM GATHERUM, MALPRACTICE)による魅惑のソロ・パートは、出現頻度こそ控えめになったものの「ここぞ!」の場面での扇情力の高さには相変わらず舌を巻くばかり。相方のJani Liimatainen (g/CAIN'S OFFERING, THE DARK ELEMENT, ex-SONATA ARCTICA)もソングライティングやクリーン・ヴォーカルも含めて作品に大きく貢献。また、陰影に満ちた情景的な彩りを加えるキーボード・ワークはEPICAのCoen Janssenが担当している。

満足度 : 91
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