Impressions
“嬢メタル”が嫌い。いや、正確に言うと「“嬢メタル・ムーヴメント”が嫌い」、だな。
女性であることを武器として有効に利用しつつ、音楽面でも本気で追求しているバンドやアーティストも多く存在するだろうし、その結果良いアウトプットが出てこればもちろんそれに対してのリスペクトは沸き起こってきますよ。
ただ、音源やイベントを供給する側の「とりあえず女性ミュージシャンをフィーチュアしとけばオマエら喜ぶんだろ〜ホレホレ〜」的な舐めた(ように見える)姿勢と、聴く側の「女子なんだからまぁこの程度できれば十分OK!健気に頑張ってるし!」ってな設定レベルの低さ・・・つまりは、肝心の音楽が“キャラクター商品”として副次的に扱われてる感に、どうにもこうにも違和感&嫌悪感を募らせてしまうんですわ。
「まずはそこが入り口になればいい」なんて意見もあるけど、そんな入り口から入ってきたところで、所詮どうしようもないバンドや作品に飛び付くどうしようもない層が増えるだけ(もちろん全部とは言わない)と考えてるし・・・あ、ビジネス的見地からすればそれで万々歳なのか? そいつは失礼しました。
さて、このフィンランド出身のフィメール・フロンテッド・メタラー SHEAR の1stフルにレーベルが乗せてきたキャッチコピーは・・・“とびきりキュートで、はちゃめちゃにパワフル! 時代が求めるニュー・アイコン「シアー」が魅せるゴスロリック・ワールド”。
・・・確かに女性シンガー Alexa Leroux 嬢はゴスロリ風ファッションが似合うキュートなアピアランスだし、今風のデジタルなアレンジを絡めたサウンドのモダンな切り口も新たなファン層を開拓しやすそうなポテンシャルを感じさせるんだけど、ちょっとその安っぽいキャッチはないなぁ〜、と。
現 AMORAL のドラマー、元 OMNIUM GATHERUM のベーシスト、元 IMPERANON のギタリストら強力なバック陣のテクニカル&スリリングな演奏、そして紅一点 Alexa 嬢の Lee Aaron や Doro をも思わせる強靭な本格派歌唱がメロディアスなヘヴィ・エッジを刻む楽曲は、イメージの甘さ/軽さからはかけ離れた硬派な手触り。いやほんと「カッコイイHeavy Metal」なんだわコレ。#2 "In Solitude" とか文句無しに名曲レベルだし。それを「そういう売り方」しちゃうせいで、本来これを主食として美味しく頂けるだろう層に届きにくくなるってのは、なんだか・・・ね。
何故か、そんなど〜でもいいことを考えさせられた1枚でした。