Impressions
DARK TRANQUILLITY / Fiction (2007)
シーンの黎明期を支えたスウェーデンの老舗メロディック・デス・メタル・バンド DARK TRANQUILLITY の8thアルバム。
もう振り返って "Punish My Heaven" を懐かしむ必要はない。前作 "Charactor" で片鱗を見せた復活への希望が想像を超えるレベルで具現化した本作は、以前に「ちょいと寄り道」したロマンティックな耽美趣味と心地良い切れ味のソリッドなモダン・アグレッションを理想的な配分で見事に結実させることに成功した、文句なしの最高傑作だ。
過去と未来が手に手を取って疾走する #3 "Terminus (Where Death is Most Alive)" ~ #4 "Blind at Heart" の激情ダダ漏れの流れ、重厚な中に漂う澄んだ叙情に涙が溢れる #5 "Icipher"、DARK TRANQUILLITY 史上はおろかメロデス史上で考えても歴史的名曲だろコレ!っちゅーアリエナスにドカコヨスなハイライト・チューン #7 "Empty Me" そして終盤らしいナイスなムードを漂わすキャッチーなゴシック・メタル #8 "Misery's Crown" と #10 "The Mundane and the Magic" (Nell Sigland 嬢@THEATER OF TRAGEDY が参加) ・・・いや~、完璧じゃん!(悶)
カリスマ・シンガー Mikael Stanne が全編でクネクネと(笑)情念を溢れさすデス・ヴォイスの生々しい魅力ももちろんだけど、思わず涙の溜まった目を閉じて天を仰がされる悲哀の叙情アトモスフィアーを呼び込んでいる主は、明らかに鍵盤奏者 Martin Brandstrom その人だろう。ブラストの嵐の後に広がる漆黒の静寂の中、僅かに尾を引く残響の粒子までもを耽美名な色気で包むその手腕には、背筋が凍る思いスわ。あ、拙いからこそまた慟哭が滲む(苦笑)効率的なギター・ソロがちゃんと存在するのも◎ね。
あー、これでアルバムだけじゃなくてライヴでもちゃんと演(以下略/汗)
(Jun, 11, 2007)