Impressions
NIGHTWISH の Jukka Nevalainen がドラマーとして籍を置き、同じく NIGHTWISH から Tuomas Holopainen がゲスト・キーボード・プレーヤとして参加しているフィンランド産ヘヴィ・メタル・バンド SETHIAN の Spinefarm 発のデビュー・アルバム。
一応 TO/DIE/FOR, CHARON, ENTWINE 系のメランコリック・ゴシック系という売り方をしてるみたいだけど、これを聴いて「ゴシック」という表現を使用するのは、とりあえずちょっぴりためらってしまうわ。
というのも、確かにシンガー Wilska の朗々とした歌声の感触がそれっぽかったり、ゴシック的な雰囲気を持つ楽曲もあったりするものの、トリプル・ギターというゴージャスな編成を生かしたこの SETHIAN のスタイルは前述のバンド群と比較してはるかにストレートなもので、基本的には普通にキャッチー&メタリックなハード・ロックといってイイんじゃないかなぁ。
とはいえ、その「ゴシック風味」の美味しさがこの SETHIAN の魅力であるもの事実で、鍵盤が醸し出す耽美な息吹き、そしてメランコリックに舞うギター・ハーモニーの妙には思わずニンマリさせられる。
他との差別化という意味ではこの SETHIAN をチョイスする理由はイマイチ希薄だけれど、メランコリックな低音ウィスパーが映える快活ドライヴィング・チューン #4 "Epitaph"(曲名でまず電波が走った!/笑)、哀愁のリフが心を鷲掴みにする #9 "Heavens May Fall"、その雰囲気が何故か KING DIAMOND を想起させるミステリアス&キャッチーなメタリック・チューン #10 "Blood Calling" あたりのお気に入りな楽曲を聴いた時の心地良さは、充分にコスト・パフォーマンスに見合ったものだったデス。
(May 19, 2003)